おどり‐こをどり‥【踊子】
- 〘 名詞 〙
- ① 踊りを踊る少女。特に、盆踊りで踊る少女。《 季語・秋 》
- [初出の実例]「踊子や生玉の緒のたすきかけ〈清信〉」(出典:俳諧・生玉万句(1673))
- ② 踊りを職業とする女性。
- (イ) 江戸時代、舞台、宴席などで踊りを見せることを表芸としていた女性。時に売淫を行なうこともあった。女芸者。町芸者。
- [初出の実例]「いまだ踊子(オドリコ)・舞子といふ者を見ず」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)四)
- (ロ) 旅をしながら、宿場、温泉場などで踊りをする女。多く、太鼓、三味線、踊り子で一団となっている。
- [初出の実例]「踊子と真近に向ひ合ったので」(出典:伊豆の踊子(1926)〈川端康成〉一)
- (ハ) おもに西洋の舞踊を職業とする女性。ダンサー。
- [初出の実例]「新宿のレヴュウ小屋の前には踊子の帰りでも待ってゐるのでせうか、六七人の男が立ってをりました」(出典:寝顔(1933)〈川端康成〉)
- ③ 幼児の前頭部の骨と骨との間のまだ接合していない部分。ひよめき。おどり。〔医案類語(1774)〕
- ④ ( どじょうを生きたままでみそ汁に入れると、苦しがって踊りあがるところから。元来は僧侶の隠語 ) 「どじょう(泥鰌)」の異名。
- [初出の実例]「昔は出家も世を憚り、蛸は天蓋、泥鰌(どじゃう)はおどりこ」(出典:洒落本・一事千金(1778)一)
- ⑤ 植物「じゃのひげ(蛇鬚)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の踊子の言及
【芸者】より
…女芸者は仮名2字の名に〈お〉をつける“おの字名”を用い,単に芸者というときは女芸者をさす。町芸者の原形も元禄時代の踊子に始まる。踊子は,踊りを表芸にして市中の各所に起こった私娼(ししよう)であった。…
【舞妓】より
…玉代は,他の雛妓が芸者の半額で,半玉(はんぎよく)と呼ばれるのに対し,芸子と同額である。発生的には元禄(1688‐1704)以前から,江戸の踊子に対して京の舞妓(舞子)があり,踊子は芸者に変わったが,京都では芸子となったほかに年少の振袖姿の小妓に舞妓の名が残ったものであろう。1947年の女子年少者労働基準規則で,18歳未満の女子が酒席で接待するのが禁じられたため,現在は年齢的にはあまり芸子との差はないが,風俗として残っており,ことに京都の舞妓は観光の対象とされている。…
※「踊子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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