20世紀日本人名事典 「吉野善介」の解説
吉野 善介
ヨシノ ゼンスケ
明治〜昭和期の植物研究家 吉野植物研究所所長。
- 生年
- 明治10(1877)年5月5日
- 没年
- 昭和39(1964)年12月11日
- 出生地
- 岡山県上房郡本町(現・高梁市)
- 主な受賞名〔年〕
- 岡山県文化賞(第1回)〔昭和23年〕
- 経歴
- 家業である薬種業を営みながら独学で植物の研究を進め、明治32年には日本で初めて野生のカザグルマを発見。33年より高梁中学校で教鞭を執る植物学者西原一之助の指導を受け、植物の名前や研究法を教わった。以来、岡山県内の各地で植物の調査を行い、採集した標本を牧野富太郎・中井猛之進・田代善太郎ら著名な植物学者に送付するなどして学界を裨益した。ナツアサドリやビッチュウミヤコザサなど数多くの新種や、チトセカズラの自生地を発見したことでも知られる。また、「山陽新報」などにも寄稿し、備中の植物には中国大陸との関係が深いものが多いことを指摘した。昭和7年より大阪の製薬会社武田商店に勤務し、近畿地方の植物調査に従事。戦後、帰郷して岡山での調査を再開し、28年には吉野植物研究所を設立して機関誌「備中の植物」を刊行した。この間、昭和23年に第1回岡山文化賞を受賞。著書に「備中植物誌」「備中植物誌補遺」などがある。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報