日本大百科全書(ニッポニカ) 「カザグルマ」の意味・わかりやすい解説
カザグルマ
かざぐるま / 風車
[学] Clematis patens Morr. et Dcne.
キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)のつる植物で、褐色の茎は木化する。クレマチス属の1種。葉は羽状複葉で小葉は3~5枚。当年枝に1~3対の葉をつけ、5~6月に1花を頂生する。花弁はなく白色の萼(がく)8枚が花弁状となり、色は淡紫ないし淡青もしくは白。雄しべは多数で葯(やく)は細長く紫色、花糸は白色で扁平(へんぺい)。痩果(そうか)は広卵形で、宿存する花柱には黄褐色の長毛がある。園芸種作出の交雑親として利用される。やや湿り気の多い所に生え、中部地方以西の本州、四国、九州北部に生育し、朝鮮、中国東北部に分布する。
近縁のテッセン(鉄線)C. florida Thunb.は中国中部の原産で、日本へは寛文(かんぶん)年間(1661~1673)に渡来したとされている。名は茎が細長く質が硬いことによる。落葉するが冬期もつるが残る。萼は6枚で白色の花弁状となる。雄しべは多数で変形しており、花糸は扁平に拡大していて暗紫色である。結実しにくい。
[冨樫 誠 2020年3月18日]