同値関係(読み)どうちかんけい(その他表記)equivalence relation

精選版 日本国語大辞典 「同値関係」の意味・読み・例文・類語

どうち‐かんけい‥クヮンケイ【同値関係】

  1. 〘 名詞 〙 同値律を満たす関係。たとえば、「等しい」「相似である」「合同である」などはこの関係であるが、「大きい」「小さい」などはこの関係でない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「同値関係」の意味・わかりやすい解説

同値関係
どうちかんけい
equivalence relation

数学用語。集合Aの上の二項関係について、たとえば図形が合同であるとか、x-yが偶数であるという関係のように、すべてのAの元a、b、cについてa≡aが成立するとき反射律、a≡bならばb≡aが成立するとき対称律、a≡bかつb≡cならばa≡cが成立するとき推移律が成立するという。これらの関係がすべて成立するとき関係≡を同値関係または同値律とよぶ。集合A上の同値関係≡に対して、aと同値すなわちx≡aとなるxの全体をaと記してaの同値類とよぶ。明らかにa∈[a]であり、x∈[a]とx≡aは命題として同値である。いま[a]∩[b]∋cとすれば、a≡cかつb≡cであるからa≡bとなり、したがってa=bである。これよりAは同値類の互いに共通部分のない和として表現できる。これをAの同値類への分解または類別とよぶ。Aの同値類aの全体をA/≡と記すと、aにaの同値類を対応させる対応はAからA/≡への写像であり全射である。逆にAからBへの写像hに対してh(x)=h(y)のときx≡yとすれば一つの同値関係である。aにそれを含む同値類を対応させる写像から生ずる同値関係は、もとの同値関係と一致する。たとえば整数についてa-bが偶数であるという関係からは偶数と奇数という概念が、実数についてa-bが整数という関係からは小数部分という概念が得られる。また集合aとbの間に一対一対応があるという関係からは個数とか基数の概念が得られる。

[難波完爾]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「同値関係」の意味・わかりやすい解説

同値関係
どうちかんけい
equivalence relation

何かの性質に着目して類にくくれるような数学上の関係が同値関係である。集合 A における関係 R が同値関係 (しばしば,~ ,= ,≡ などで表わされる) であるとは,任意の2元 abA に対して,
(1) aRa (反射律)
(2) aRb ならば bRa (対称律)
また任意の3つの元 abcA に対して,
(3) aRb かつ bRc ならば aRc (推移律)
が成り立つことである。以上の3つを合せて同値律という。 ab が同値関係にあるとき,ab は同値であるという。たとえば △ABC と △A'B'C' が合同であることを △ABC≡△A'B'C' と書くが,この場合の ≡ を一つの関係と考えれば,関係 ≡ は同値律を満たすことは明らかである。それゆえ,三角形の合同は同値関係である。

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世界大百科事典(旧版)内の同値関係の言及

【同値】より

…このように,PならばQ,QならばPのいずれも真であるようなPQとは同値であるという。
[同値関係]
 2組の百科事典について,〈同じ百科事典〉と考える考え方もあり,同一物ではないから〈同じではない〉とする考え方もある。このように立場によって,同じと考える内容が異なる。…

※「同値関係」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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