同素変態(読み)どうそへんたい(その他表記)allotropic transformation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「同素変態」の意味・わかりやすい解説

同素変態
どうそへんたい
allotropic transformation

同じ化学物質が異なる形質をとるもの (たとえば酸素 O2オゾン O3 ) を同素体といい,固体でのその変化を同素変態という。金属には例が多く,かつ重要である。金属の同素変態は,温度,圧力の変化により結晶型を変えることであり,圧力の影響は小さいので通常は常圧下で温度だけを考える。その温度を変態点という。変態点が1つあれば同素体は2種である。同素変態は固体内変化なので,原子の運動が活発化する加熱のときは定温で起るが,冷却のときは大幅な過冷を示すことがある。たとえばスズの変態点は 18℃で,それ以上では白スズ (金属スズ) ,以下では灰色スズになるはずであるが,実際は冬になっても錫器は変化しない。しかし-40℃近くになると突然灰色スズに変態してこわれる。 19世紀末にモスクワの博物館で異常寒波のためこの現象が起ったことがあり,これをスズペストと呼んだ。スズが変態でこわれるのは,変態による膨張が異常に大きく,かつ灰色スズが金属性を失ってもろくなるからである。既知の金属同素固体は次のとおりである (かっこ内は同素体数) 。リチウム (3) ,ベリリウム (2) ,ナトリウム (2) ,カルシウム (2) ,スカンジウム (2) ,チタン (2) ,クロム (3?) ,マンガン (4) ,鉄 (3) ,コバルト (2) ,ストロンチウム (3) ,ジルコニウム (2) ,スズ (2) ,ランタン (2) ,セリウム (3?) ,プラセオジム (3?) ,ハフニウム (3?) ,タリウム (2) ,トリウム (2) ,ウラン (3) ,プルトニウム (6) 。

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