スカンジウム(読み)すかんじうむ(英語表記)scandium

翻訳|scandium

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカンジウム」の意味・わかりやすい解説

スカンジウム
すかんじうむ
scandium

周期表第3族に属し、希土類元素の一つ。1879年、スウェーデンのL・F・ニルソンがガドリン石の中に発見し、スカンジナビアにちなんで命名した。その性質は、メンデレーエフ周期律によって存在を予言したエカホウ素とよく一致した。遊離状態では存在しない。主要鉱石トルトバイタイト。地球上に広く分布し、他の金属の鉱石に不純物として含まれるので、その精錬に際し副産物として回収される。銀白色の金属。室温ではα(アルファ)型であるが、1335℃以上ではβ(ベータ)型となる。空気中で表面が酸化されるが、熱すると無色の酸化物を生じる。熱水、酸に溶け、酸化数+Ⅲの塩をつくる。酸化物の塩基性は希土類元素中もっとも弱く、アルミニウムと同じぐらいである。

[守永健一]



スカンジウム(データノート)
すかんじうむでーたのーと

スカンジウム
 元素記号  Sc
 原子番号  21
 原子量   44.9559
 融点    1540℃
 沸点    2830℃
 比重    2.989(測定温度25℃)
 結晶系   α;六方 β;立方
 元素存在度 宇宙 33(第33位)
          (Si106個当りの原子数)
       地殻 22ppm(第30位)
       海水 0.6×10-3μg/dm3

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スカンジウム」の意味・わかりやすい解説

スカンジウム
scandium

元素記号 Sc ,原子番号 21,原子量 44.955910。周期表3族に属する。 D.メンデレーエフによって予言,エカホウ素と命名された元素で,1879年スウェーデンの化学者 L.ニルソンがガドリン石から発見した。スカンジナビアという地名にちなみスカンジウムと命名。主要鉱物はソルトベイト石であるが,スズ鉱,タングステン鉱に伴い産出することもある。地殻平均含有量 17ppm,海水中の存在量 0.004 μg/l 以下。通常希土類元素の一つにみなされるが,地球化学的には必ずしも行動をともにするわけではない。単体は淡灰色の金属,比重 3.02~3.20,融点約 1400℃。酸に可溶。化学的性質は希土類元素に類似,塩基性は最も弱い。

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