日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカンジウム」の意味・わかりやすい解説
スカンジウム
すかんじうむ
scandium
周期表第3族に属し、希土類元素の一つ。1879年、スウェーデンのL・F・ニルソンがガドリン石の中に発見し、スカンジナビアにちなんで命名した。その性質は、メンデレーエフが周期律によって存在を予言したエカホウ素とよく一致した。遊離状態では存在しない。主要鉱石はトルトバイタイト。地球上に広く分布し、他の金属の鉱石に不純物として含まれるので、その精錬に際し副産物として回収される。銀白色の金属。室温ではα(アルファ)型であるが、1335℃以上ではβ(ベータ)型となる。空気中で表面が酸化されるが、熱すると無色の酸化物を生じる。熱水、酸に溶け、酸化数+Ⅲの塩をつくる。酸化物の塩基性は希土類元素中もっとも弱く、アルミニウムと同じぐらいである。
[守永健一]