プラセオジム(読み)ぷらせおじむ(英語表記)praseodym

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プラセオジム」の意味・わかりやすい解説

プラセオジム
ぷらせおじむ
praseodym

周期表第3族、希土類元素に属するランタノイド元素の一つ。1885年オーストリアのウェルスバハがそれまで元素と考えられていたジジムdidymiumを分別結晶法によって二つの部分に分け、その一つに含まれる元素をプラセオジムと命名した(他の一つはネオジム「新しい双子」である)。分離した酸化物が緑色であったため、ギリシア語の「ニラの緑」prasiosと「双子」didymosによっている。

 塩化物溶融塩電解、またはアルカリ金属による還元によって金属を得る。銀白色の金属。空気中に放置すると、表面が酸化されて黄色になり、290℃以上では発火して酸化物となる。熱水や酸に水素を発生して溶ける。酸化数ⅢとⅣの化合物をつくる。

[守永健一・中原勝儼]



プラセオジム(データノート)
ぷらせおじむでーたのーと

プラセオジム
 元素記号  Pr
 原子番号  59
 原子量   140.9077
 融点    931℃
 沸点    3510℃
 比重    α;6.773
       β;6.64
 結晶系   α;六方
 元素存在度 宇宙 0.17(第71位)
          (Si106個当りの原子数)
       地殻 8.2ppm(第38位)
       海水 0.64×10-3μg/dm3

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プラセオジム」の意味・わかりやすい解説

プラセオジム
praseodymium

元素記号 Pr ,原子番号 59,原子量 140.90765。周期表3族,希土類元素でランタノイド元素の1つ。セル石,モナズ石,ガドリン石などの中に,他の希土類元素に随伴して産出する。地殻における存在量は 8.2ppm,海水中の濃度 0.003μg/l 。 1885年 C.ウェルスバハにより,当時単一元素と考えられていたジジムがプラセオジムとネオジムに分離され,それぞれ元素として同定された。単体は銀白色の金属で,融点 935℃,比重 6.782,展性,延性がある。空気中 290℃で発火。酸と反応して溶ける。酸化数3。三酸化プラセオジムは黄緑色。塩類は結晶,水溶液ともに美しい緑色を呈する。常磁性ミッシュメタル,鉄鋼,非鉄金属材料用添加剤として用いられる。

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