名高浦(読み)なたかうら

日本歴史地名大系 「名高浦」の解説

名高浦
なたかうら

[現在地名]海南市名高

黒江くろえ湾の湾奥に位置する。名草なくさ郡に属し、北は日方ひかた浦、東は大野中おおのなか村、南は鳥居とりい浦に接する。山田やまだ川の河口にあり、集落は海岸を走る近世熊野街道に沿って街村状に発達していた。名高浦は古く「万葉集」にも詠まれ、「枕草子」も「浦は」の段で名をあげている。これは古代・中世の熊野街道が、山中を通ってきて名高浦の南、鳥居浦付近で海岸部に出たため、名高浦を含めて黒江湾の地が印象深かったことなども関係したものかと思われる。その後名高の地は大野郷に含まれたと思われるが文献にはみえず、応永七年(一四〇〇)正月日付の三上庄大野郷御年貢帳(禅林寺文書)に「中方浦」として浦役六〇〇文が記されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の名高浦の言及

【海南[市]】より

…一方,シュロ皮加工業は原料を化学製品にかえて,ほうき,マットなどの和雑貨やロープ,漁網を生産している。古くは黒牛潟,名高浦と呼ばれた海南湾は,近世から塩田開発が行われ,1909年まで塩田として利用された。大正期から海岸を埋め立てて繊維産業が導入されたが,60年代半ばに県によって160haの埋立てが完成し,火力発電所,鋼管工場,石油精製所が立地した。…

※「名高浦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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