内科学 第10版 の解説
呼吸器系疾患における新しい展開
一方,分子生物学的手法を用いた呼吸器疾患診療の進歩がある.わが国の研究者が,肺胞蛋白症の病因としてGM-CSF自己抗体の存在や,肺胞微石症の責任遺伝子(SLC34A2)を発見した.また,肺癌においては,上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異,EML4-ALK,ROS1,RET融合遺伝子など,開発中の分子標的薬が著効を示す分子標的がわが国をはじめ世界から次々と報告されており,肺癌治療が新しい段階に入った.
WHOの2020年における世界の死亡増加予想では,第3位COPD,第4位肺炎,第5位肺癌,第7位結核となり,呼吸器疾患が急増することが予想される.呼吸器疾患は,いわゆる“common disease”であるが,一方ではいずれも難治の疾患である.さらなる病態の理解と新たな治療展開が期待される分野である.[長谷川好規]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報