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肺癌 はいがん pulmonary cancer

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

肺癌
はいがん
pulmonary cancer

肺に生じる原発性悪性腫瘍の大部分を占めるもので,欧米では悪性腫瘍のなかで最も頻度が高く,日本でも増加しつつある。男性に多い。病理学的に扁平上皮癌,腺癌,未分化癌に分けられる。予後は未分化癌が最も不良である。

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デジタル大辞泉の解説

はい‐がん【肺×癌】

肺に発生する癌。初め気管支の粘膜に発生し、咳(せき)・痰(たん)・血痰・胸痛などの症状がみられる。喫煙や大気汚染などが原因となる。

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百科事典マイペディアの解説

肺癌【はいがん】

肺に発生する癌。気管支粘膜から生じる原発性肺癌と,他の臓器からの転移癌がある。特に前者は中年の男子に多く,タバコ・有毒ガス・鉱粉との関係が重要視されている。症状は咳(せき),痰(たん)・血痰,胸痛,呼吸困難など。
→関連項目塩酸イリノテカン胸腔鏡下手術職業病タバコ(煙草)肺外科肺切除術ばち指

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世界大百科事典 第2版の解説

はいがん【肺癌 lung cancer】

肺に発生する悪性腫瘍の一種。肺組織自体から発生する原発性肺癌と,他臓器に発生した癌が肺に転移定着し増殖した転移性肺癌に区別される。
【原発性肺癌】
 肺の気管支から肺胞に至る組織の表面を覆う上皮性細胞より発生する悪性腫瘍。この細胞集団は,肺という所属臓器の特異性を失い,増殖力のみをもち,さらに細胞の個々の密着性をある程度失って,遠隔転移増殖を起こし,ともに,周囲への圧迫,浸潤破壊を行って宿主を死に至らしめる。

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大辞林 第三版の解説

はいがん【肺癌】

肺にできる癌。大部分が気管支の粘膜上皮から発生する。頑固な咳・痰たん・胸痛などが見られるが、癌の部位によっては進行してもかなりの期間無症状のことがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

肺癌
はいがん
lung cancer

肺癌は気管支、肺に発生した上皮性の悪性腫瘍(しゅよう)(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌など)の総称である。腫瘍の性格から、小細胞癌と非小細胞癌に分けられる。一方、非上皮性腫瘍すなわち肉腫やリンパ系腫瘍は肺癌とは異なった腫瘍に分類される。また他臓器の癌が肺へ転移したものは転移性肺腫瘍であり肺癌には含まれない。これらの腫瘍と明確に区別するために肺癌は原発性肺癌とよばれることもある。[鈴木 隆]

疫学

日本では、2007年(平成19)に肺癌で6万5576人が死亡した。そのうち男性は4万7659人で、臓器別癌死亡数の順位では第1位であり、女性は1万7917人で胃癌に次いで第2位であった。同年の10万人あたりの死亡率は男性で77.5、女性では27.7であった。ちなみに1960年(昭和35)には、それぞれ7.9および3.2であり、著明に増加している。年齢ごとに肺癌の罹患率をみると40歳代から増えはじめ、男女とも高齢者ほど高い。[鈴木 隆]

危険因子

肺癌発生の危険因子として、以下のようなものがある。
(1)喫煙 タバコの煙に含まれるベンツピレンなどに発癌性があるとされる。喫煙係数(1日の喫煙本数×年数)が高ければ高いほど肺癌になる可能性が高くなる。喫煙者が肺癌になるリスクは非喫煙者に比して、男性で4.4倍、女性で2.8倍とされる。受動喫煙も問題であり、たとえば夫が喫煙者である場合、非喫煙者である妻は、夫が非喫煙者である場合に比して1.3倍のリスクがある。職場での受動喫煙も、喫煙暴露がある職場はそうでない部署に比べて肺癌になるリスクは1.3倍高いと報告されている。
(2)職場環境 コールタール、塩化ビニル、アスベスト、ラドン、砒素(ひそ)、クロム、ニッケルなどを取り扱う職業と肺癌の発生が関連付けられている。とくに、アスベスト作業に従事していた人が肺癌になる確率は非喫煙者で1.4倍、喫煙者では17倍といわれている。
(3)大気汚染 汚染した大気に含まれる多環芳香族炭化水素、重金属、アスベストなどと肺癌発生が問題になっている。
(4)ウイルス・遺伝 肺癌発生におけるウイルスの関与は否定的である。一方、喫煙を好む遺伝子、発癌物質を活性化・解毒する遺伝子の有無が発癌に関与していると考えられている。
(5)食品摂取 過剰な脂肪摂取、飲料水中の砒素により肺癌の発生が増加するとされる。一方、緑黄色野菜のβ(ベータ)カロテン、ビタミンA、緑茶などに含まれるポリフェノールなどが発生を抑制するといわれている。[鈴木 隆]

予防

肺癌発生の危険因子との接触を回避する予防策は1次予防とよばれる。日本の肺癌患者のなかで男性の68%、女性の18%が喫煙が原因とされており、禁煙はもっとも有効で重要な予防法である。発癌物質との接触を避けるような職場環境、住居環境の改善もまた重要な1次予防である。
 これに対し、肺癌に罹患した患者をできるだけ早く発見することを2次予防という。2次予防には対策型検診(地方自治体などによる経費負担)、任意型検診(希望者がコストを負担する人間ドックなど)がある。画像診断には、おもに胸部X線写真が用いられているが、被曝(ひばく)量を減じた低線量CT検診が導入されており、小型で早期の肺癌の発見が増えている。ただ、低線量CT検診については、本当に死亡率減少効果があるのか、放射線被曝量が多いこと、肺癌以外の陰影が発見された偽陽性症例に及ぼされる不利益の問題が検討されている段階である。また喫煙者などハイリスク群に対する喀痰(かくたん)細胞診も行われている。[鈴木 隆]

症状

自覚症状としては、(1)肺癌そのものによる呼吸器症状、(2)肺癌が転移した臓器による症状、がある。(1)としては咳、痰、血痰、胸痛、呼吸困難などがある。(2)は転移先により脳転移であれば頭痛、めまい、意識障害があり、骨転移であれば局所の痛み、病的骨折などがある。
 肺癌が発見されるきっかけには、(1)自覚症状のために医療機関を受診して肺癌が発見される場合、(2)他疾患(糖尿病や高血圧など)で治療中に無症状で胸部X線写真を撮影され発見される場合、(3)無症状であったが健康診断で発見される場合、がある。(2)(3)の無症状で発見された群では、画像診断の進歩によって早い病期の肺癌の比率が増えている。[鈴木 隆]

診断

肺癌の診断は、理学的所見、画像診断、病理診、腫瘍マーカーなどの手法を組み合わせて行う。肺癌であるか否かの質的診断とともに肺癌の拡がりを診断して病期診断を行う。病期診断は、とくに外科的治療の判断に重要である。また手術にあたっては、患者が手術に耐えうるかを評価するために、呼吸機能検査、心機能検査を含めた全身の体力の評価を行う。[鈴木 隆]
画像診断
集団検診や通常の外来では胸部X線写真が用いられる。これで異常所見があれば胸部CTを撮影して、病巣を詳細に検討する。CTだけでも肺癌の診断を絞り込むことができる。中枢型の肺癌の診断には気管支鏡検査が有用である。気管支鏡検査は末梢型の肺癌の細胞を採取するのにも用いられる。この気管支鏡検査のときにCT画像からコンピュータで気管支のルートを作成し(バーチャルナビゲーション)、それに基づいて病巣にアクセスする手法が開発された。癌がグルコースを大量に代謝する性質を利用したFDG-PET(18-fluoro-deoxyglucose, positron emission tomography)という検査方法が、肺癌の質的診断、病期診断、治療効果判定、再発診断に用いられている。[鈴木 隆]
病理診断
肺癌か否か、肺癌の組織型(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌など)のいずれに相当するかは重要な情報である。喀痰細胞診、気管支鏡下擦過細胞診、気管支鏡下生検、CTガイド下生検、縦隔鏡下生検、胸腔鏡下生検で得られた標本を用いて検討が行われる。[鈴木 隆]
腫瘍マーカー
肺癌ではスクリーニングに有用なマーカーは存在せず、診断の補助(肺癌の診断、組織型の推定)、治療効果の判定、再発の推定の手段として用いられる。CEA、SLXは腺癌のマーカーであり、CYFRA、SCCは扁平上皮癌の、ProGRP、NSEは小細胞癌のマーカーである。いわゆる腫瘍マーカーではないが、骨転移の指標として代謝産物のICTP、NTxが用いられる。また癌組織に上皮成長因子受容体(EGFR)の遺伝子変異があれば、理論的には分子標的薬であるEGFR阻害薬が有効であることから、臨床的にEGFRの測定が行われており、治療法の選択に貢献している。[鈴木 隆]

治療

治療法には外科療法、化学療法、放射線治療、分子標的治療、ワクチン、温熱療法、レーザー治療などがあり、各患者にもっとも適した治療を選択する。複数の治療法を組み合わせることが多い。また腫瘍そのものから産生される物質や転移臓器の機能異常によって種々の病態(低Na血症、脳転移、癌性胸水など)が出現するのでその治療も肝要である。[鈴木 隆]
外科治療
外科治療の対象となるのは、非小細胞癌の臨床病期期である。小細胞癌は、化学療法あるいは放射線治療が有効なのでこれらが選択される。肺葉切除あるいは肺摘除術にリンパ節郭清を加えた術式が標準である。一方、CT検診の導入により微小な肺癌が発見されるようになり、このような症例にはさらに小範囲の手術すなわち肺部分切除や区域切除が試みに行われるようになった。また、胸腔鏡手術は小さい胸壁の創から、胸腔鏡で撮影した画像をモニター画面でみながら従来の開胸手術と同様の術式(肺葉切除または肺摘除術、リンパ節郭清)を行う。胸壁の創が小さいことは術後の回復、疼痛の軽減に貢献しているが、臨床データの不足(生存率の向上に寄与しているという証拠がまだ明らかでない)、術中合併症問題(術中出血に対する安全策など)など問題がある。周囲臓器へ進展したT3、T4 症例に対しては原則的に手術適応がないが、手術後長期生存している症例もあり、外科治療の意義がある症例もある。[鈴木 隆]
化学治療
非小細胞癌のA期以外のすべての切除症例に化学療法の使用が検討される。すなわちB、A、B、A期は、根治的切除がなされた場合でも術後の化学療法の追加が生存率の向上に寄与している。B、期は、化学療法のもっともよい適応である。小細胞癌は最初から化学療法、放射線治療が選択される。
 抗癌剤治療の軸となるのはプラチナ製剤であり、それにはシスプラチン(CDDP)とカルボプラチン(CBDCA)がある。1990年代に抗腫瘍効果が証明され臨床に導入された、ビノレルビン(VNR)、ゲムシタビン(GEM)、パクリタキセル(PTX)、ドセタキセル(DOC)、イリノテカン(CPT-11)は、第3世代抗癌剤と称される。それ以前から肺癌に有効とされている薬剤には、マイトマインC、ビンデシン、ビンブラスチン、イホスファミド、エトポシドがある。単独の薬剤の使用よりも、プラチナ製剤1剤と他の薬剤1~2剤との組み合わせが有用とされ、種々の組み合わせの臨床研究が行われている。ただ3剤の併用は、副作用の程度が強く出るので避けられる傾向がある。
 抗癌剤は、一般に細胞を殺すという性格上、副作用が強い。たとえばプラチナ製剤の副作用は、貧血、好中球減少、血小板減少、腎毒性、神経毒性、消化器症状(嘔気、嘔吐など)があり、ほかの抗癌剤にも類似の副作用がある。集積された臨床経験から、副作用を抑えつつ抗癌薬を投与する手法が確立されつつある。[鈴木 隆]
放射線治療
一般に、小細胞癌には手術の適応がないが、これは放射線治療、化学療法が有効なためである。小細胞癌では、脳転移に対する予防的全脳照射も効果が証明されている。また、放射線療法は、高齢者や合併症を有する症例に対して比較的安全に施行することができる。そのため、非小細胞癌で外科的治療のリスクが高い症例も放射線治療の対象となる。
 通常、放射線治療は化学療法と一緒に行われるが、放射線単独の治療も施行される。さらに骨転移に対する放射線照射の有用性(除痛効果)は75~90%であり、疼痛を和らげるのに有用である。 一方、手術と組み合わせて術前、術後に放射線治療が施行されることもある。 コンピュータの進歩により可能となった3D-CRT(tree-dimensional conformal radiotherapy)は、3次元的に多軌道で放射線を集中する照射法である。また、定位放射線照射(STI: stereotactic irradiation)は、高線量の放射線を多方向から集中して病巣に正確に照射する方法であり、これには1回照射で行うSRS(stereotactic radiosurgery)と、分割照射で行うSRT(stereotactic radiotherapy)の手法があって、症例によっては有用性が認められている。また、肺は呼吸に伴って移動することから、正確に病巣に照射するための4次元照射(埋没金属球による動態追跡)の技術が開発されている。[鈴木 隆]

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世界大百科事典内の肺癌の言及

【異所性ホルモン産生腫瘍】より

…一方,その特定の臓器とは異なった臓器や組織に腫瘍ができ,本来そこでは作らないはずのホルモンを産生するようになったとき,その腫瘍を異所性ホルモン産生腫瘍と呼ぶ。1962年,副腎皮質機能亢進症状を伴った肺癌の患者の腫瘍組織中に,本来は脳下垂体から分泌されるはずの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌が証明されたことから,異所性ホルモン産生腫瘍の概念が確立された。 肺癌の場合が圧倒的に多いが,カルシノイド症候群,甲状腺癌,膵癌,肝臓癌など種々の悪性腫瘍にみられる。…

【喀痰検査】より

気管支拡張症肺化膿症では大量である。血痰が肺癌の初期症状となることもある。気管支の枝わかれがそのまま鋳型になったような形の粘液やクルシュマン螺旋(らせん)体(気管支喘息(ぜんそく)などのときにみられるもので,螺旋状にねじれた糸状の粘液)など特殊な肉眼的異常がみられる。…

【空洞】より

…外界と通じているため排菌も生じ,また病巣内への出血は喀血として新鮮血を排出する。肺結核と同様のレントゲン像を示す空洞性病変は肺癌や肺アスペルギルス症でもみられる。肺癌の場合は扁平上皮癌に多く,癌組織の中心部が自壊し,不規則な形の空洞をつくる。…

【職業癌】より

…世界で最初に発見され記載された職業癌は,煙突掃除夫のばい(煤)煙による陰囊癌である(イギリスのポットPercival Pott(1775)による)。日本では黒田静,川畑是辰によるガス炉工の肺癌が最初である(1936)。一般の生活での癌は,胃癌をはじめとする消化器癌,子宮癌,乳癌などが多いが,職業癌では皮膚,肺,膀胱など発癌物質が接触,吸入,排出される経路に多い。…

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