和田山・末寺山古墳群(読み)わだやま・まつじやまこふんぐん

日本歴史地名大系 「和田山・末寺山古墳群」の解説

和田山・末寺山古墳群
わだやま・まつじやまこふんぐん

[現在地名]寺井町和田・末寺

手取川南岸の二つの独立丘陵(和田山・末寺山)上に所在し、能美古墳群中の中核部をなすことから、国指定史跡として整備されている。発掘は昭和二〇年代から行われてきたが、同五二年(一九七七)以降は史跡整備のための調査が五ヵ年計画で実施された。和田山支群には方形周溝墓一基・前方後円墳一基・方墳一基・円墳約一五基があり、末寺山支群は前方後方墳三基・円墳一一基からなる。時期的には前期(四世紀代)から後期(六世紀代)にわたり、和田山丘陵の一部には弥生時代の集落跡や中世城跡(和田山城跡)が複合している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「和田山・末寺山古墳群」の解説

わだやままつじやまこふんぐん【和田山-末寺山古墳群】


石川県能美市和田町にある古墳群。手取川左岸に広がる能美平野の独立丘陵上に立地し、現存する古墳は28基であるが、発掘調査によって、方形周溝墓1基、前方後円墳1基、前方後方墳3基、円墳20基、方墳1基などが確認された。能美地域の古墳群の中核的な存在として重要なことから、1975年(昭和50)に国の史跡に指定された。古墳時代前期(4世紀代)から後期(6世紀代)にわたって継続的に造営されたもので、内部主体は簡素な粘土床が多く、北陸地方の特色を示す。4世紀代のものとしては、素環頭(すかんとう)太刀を副葬した1辺が約22m、高さ約4mの方墳である和田山9号墳、全長約31mの前方後方墳の末寺山2号墳、全長約38mの前方後方墳の末寺山5号墳などがある。5世紀代のものは、全長約56mの前方後円墳で2基の粘土槨の埋葬施設から変形神獣鏡(しんじゅうきょう)・珠文鏡(しゅもんきょう)・眉庇付冑(まびさしつきかぶと)・短甲・直刀・鉄鏃(てつぞく)などの多彩な副葬品が出土した和田山5号墳や、直径16m、高さ4mの円墳で木棺直葬の埋葬施設から六鈴鏡・ガラス丸玉などが検出された和田山1号墳、直径18m、高さ2.2mの円墳で粘土床上の木棺から神獣鏡・鈴付銅釧(どうくしろ)・短甲・轡(くつわ)・管玉(くだたま)・櫛などを検出した和田山2号墳などがある。6世紀代には、直径約22m、高さ数十cmの円墳で幅約3.5m、深さ約1.8mの周溝から高杯(たかつき)をはじめとする計100点の須恵器(すえき)が検出された和田山23号墳がある。一帯は史跡公園となり、能美市歴史民俗資料館がある。JR北陸本線金沢駅から北陸鉄道バス「寺井史跡公園前」下車、徒歩約15分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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