唐へ投げ金(読み)とうへなげがね

精選版 日本国語大辞典 「唐へ投げ金」の意味・読み・例文・類語

とう【唐】 へ 投(な)げ金(がね)

江戸幕府による鎖国が行なわれる以前の朱印船貿易時代、海外貿易投資をすること。海難などの恐れがあったところから、確かな目算のない投機的な投資のたとえに用いる。唐(から)へ投げ金。
浮世草子本朝二十不孝(1686)三「唐(タウ)抛銀(ナゲガネ)して仕合次第分限となって」
② 金銀財宝をむだに使ってしまうことのたとえ。
浄瑠璃・孕常盤(1710頃)一「目前日本の宝を、見へもせぬ後世の為異国へ渡すうつけ者、それこそ唐(タウ)へ投げがねと云物」

から【唐】=へ[=への]投(な)げ金(かね)

利益がなく、金をむだに使うことのたとえ。江戸幕府が鎖国以前に行なった朱印船貿易への投資は、無事帰国すれば大きな利益をあげるが、海難のときは元も子もなくなるところからいわれた。
※浮世草子・嵐無常物語(1688)上「唐(カラ)へのなげかねするもこれは商ひの手まはし利得る事も、娘の子付るものははじめからうせ物に立ぞかし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android