唱える(読み)トナエル

デジタル大辞泉 「唱える」の意味・読み・例文・類語

とな・える〔となへる〕【唱える/称える】

[動ア下一][文]とな・ふ[ハ下二]
声に出して言う。声を立てて読む。「お題目を―・える」「呪文を―・える」
大声で言う。さけぶ。「万歳を―・える」
人に先んじて言いだす。首唱する。主張する。「新学説を―・える」「異議を―・える」
(称える)名づけていう。呼ぶ。称する。「みずから救世主と―・える」
[類語](1誦する吟ずる/(4名乗る称する呼ぶ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「唱える」の意味・読み・例文・類語

とな・えるとなへる【唱・称】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]とな・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙
  2. 声を立てて読む。誦す。うたう。うたいだす。
    1. [初出の実例]「時に陰(め)神、先づ唱(トナヘ)て曰(のたま)はく、憙哉(あなうれしゑや)、可美少男(うましをとこ)に遇ひぬ」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
    2. 「阿彌陀仏ととなふる声を梶にてや苦しき海をこぎ離るらん〈源俊頼〉」(出典:二度本金葉(1124‐25)雑下)
  3. 高く呼ぶ。叫ぶ。
    1. [初出の実例]「興々の音をとなへて、国中興複の義ありき」(出典:名語記(1275)五)
  4. 人に先立って言う。首唱する。唱導する。
    1. [初出の実例]「儒者誦法聖人之道。以倡当世。世之人謂儒者之道」(出典:制度通(1724)叙)
  5. 主張する。いいはる。
    1. [初出の実例]「わしが訊いているのは、わしの話に異論をとなえる理由についてじゃよ」(出典:死霊‐二章(1946‐48)〈埴谷雄高〉)
  6. 名づけていう。呼ぶ。称する。
    1. [初出の実例]「馬上才 ハ上ノ ゲイハ アマタ コサリマスレドモ スベテ キョクバト トナエマスル」(出典:交隣須知(18C中か)三)
  7. 相場取引で高値をつける。

唱えるの補助注記

室町時代ごろからヤ行にも活用した。→となゆ(唱)

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