唾石症(読み)ダセキショウ(その他表記)sialolithiasis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「唾石症」の意味・わかりやすい解説

唾石症
だせきしょう
sialolithiasis

唾液腺(せん)または唾液排泄(はいせつ)導管内に唾液中の石灰分が沈殿して生じた結石を唾石とよび、唾石の存在によって生じる種々の疾患を総称して唾石症という。顎下(がくか)腺管内に生じることが多く、顎下腺体内、耳下(じか)腺体内、耳下腺管内、舌下(ぜっか)腺管内の順に少なくなる。一般に耳下腺、舌下腺には少ない。唾石があってもまったく無症状のこともあるが、唾液の流出が妨げられると、食物摂取時に唾液腺が腫脹(しゅちょう)し、痛みをおこす(唾液仙痛(せんつう))。長期にわたる唾石の存在、とくに導管内の存在によって感染を生じると、排泄導管口付近が発赤、腫脹し、排膿(はいのう)がみられる。炎症が合併すると診断が困難なこともあるが、X線写真、とくに唾液腺造影像では確実に診断される。処置は、唾石が導管内に存在する場合には口腔(こうくう)内より摘出するが、腺体内にある場合には腺全体の摘出を行う。

[矢﨑正之]

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家庭医学館 「唾石症」の解説

だせきしょう【唾石症 Sialolithiasis】

[どんな病気か]
 唾液管(だえきかん)または唾液腺(だえきせん)の中に結石(けっせき)ができる病気です。通常は顎下腺(がくかせん)にみられますが、まれに耳下腺(じかせん)にもできます。
[症状]
 唾液管が結石で閉塞(へいそく)されているために、食事の際に唾液分泌(ぶんぴつ)が増すと、導管内圧が急激に増し、激しい痛みとともに顎下腺が腫(は)れます。痛みは30分から1時間で消失します。
 慢性化して唾液腺の機能がなくなり、唾液腺が萎縮(いしゅく)すると、食事による痛み、腫れはなくなります。
 細菌感染が加わると口腔底(こうくうてい)が赤く腫れ、導管開口部から排膿(はいのう)がみられ、顎下部の皮膚も赤く腫れます。
[治療]
 小さい唾石は手術をして摘出します。結石が顎下腺の中にあったり、唾液腺の機能がなくなっているときは、顎下腺ごと摘出します。

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世界大百科事典(旧版)内の唾石症の言及

【唾石】より

…これが一定の大きさになり唾液排出管に詰まると,食物摂取時に唾液腺部が痛んだり,はれたりする。これを唾石症という。治療は唾石の摘出によるが,唾液腺に炎症がある場合は,その唾液腺とともに摘出する。…

※「唾石症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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