善光寺(山梨県)(読み)ぜんこうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「善光寺(山梨県)」の意味・わかりやすい解説

善光寺(山梨県)
ぜんこうじ

山梨県甲府市善光寺町にある浄土宗の寺。定額山(じょうがくざん)浄智(じょうち)院と号する。本尊阿弥陀(あみだ)三尊像。甲府善光寺ともいう。長野善光寺第37世鏡空(きょうくう)を開山とし、1558年(永禄1)の開創。開基は武田信玄(しんげん)。信玄は長野善光寺の本尊を兵火から守るため、甲府に善光寺を建ててこれを移した。あるいは、村上義清(よしきよ)との戦いで長野善光寺の堂宇が兵火にかかったとき、本尊が朝日山に飛び移り無事であったので、この奇瑞(きずい)に打たれた信玄が本尊を甲府に迎えたともいう。本尊はその後岐阜に移されたのち、尾張(おわり)(愛知県)甚目(じもく)寺、遠江(とおとうみ)(静岡県)鴨江(かもえ)寺、京都方広寺などに奉遷され、1598年(慶長3)豊臣(とよとみ)秀吉の死去により長野へ戻された。一方、甲府善光寺の大本願上人(しょうにん)以下が信濃(しなの)に帰座したため寺勢は衰えたが、増上寺の仰誉(ぎょうよ)が中興。1796年(寛政8)再興された山門金堂は国重要文化財で、長野善光寺のそれを模している。また領主浅野氏が奉納した一光三尊金銅仏、および木造阿弥陀三尊像二組は国重要文化財。

清水 乞]


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