一光三尊(読み)イッコウサンゾン

デジタル大辞泉 「一光三尊」の意味・読み・例文・類語

いっこう‐さんぞん〔イツクワウ‐〕【一光三尊】

中尊と両脇侍きょうじ三尊仏一つ舟形光背を負う仏像形式法隆寺金堂釈迦三尊像などにみられる。

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精選版 日本国語大辞典 「一光三尊」の意味・読み・例文・類語

いっこう‐さんぞんイックヮウ‥【一光三尊】

  1. 〘 名詞 〙 中尊と両脇侍(きょうじ)三尊が同一の光背を負う仏像。
    1. [初出の実例]「一光三尊月盖が家に現じ給ふ」(出典:雑談集(1305)一〇)
    2. 一光三尊〈東京国立博物館蔵〉
      一光三尊〈東京国立博物館蔵〉

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改訂新版 世界大百科事典 「一光三尊」の意味・わかりやすい解説

一光三尊 (いっこうさんぞん)

3体の仏像が一つの大きな光背を負う図像をいう。一光とは一つの光背,三尊とは如来を中尊として,その左右に2菩薩を脇侍とする三体一具の仏像のことである。その光背の形は舟形,あるいは1枚の蓮弁を大きくかたどったような形をしており,挙身光ともいう。この一光三尊形式の源流中国北魏時代の仏像に求められるが,日本の作例では法隆寺金堂に安置される623年(推古31)に造立された釈迦如来三尊像とその光背が最も名高い。両脇侍像は枘(ほぞ)で光背に留められ,三尊が一具であることを強調している。東京国立博物館にある594年(甲寅年銘,推古2)の光背は,仏像は失われているが最も古く,完全な形をみせる作例である。ほかに628年(戊子年銘,推古36)の釈迦如来三尊像と光背(法隆寺),また,いわゆる善光寺式阿弥陀三尊像の祖形ともいうべき如来および両脇侍三尊立像とその光背(東京国立博物館)も当初の姿をよく保存している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一光三尊」の意味・わかりやすい解説

一光三尊
いっこうさんぞん

光背の形式の一種。釈迦三尊,薬師三尊,阿弥陀三尊像などの光背が三尊をおおうように造られたもの。中国の六朝時代にもみられ,日本では飛鳥時代など初期作品に多い。法隆寺金堂の『釈迦三尊像』,長野,善光寺の『阿弥陀三尊像』の光背は代表的な作例。

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旺文社日本史事典 三訂版 「一光三尊」の解説

一光三尊
いっこうさんぞん

本尊と両脇侍の三尊が一つの光背を共有している仏像
中国では北魏時代,わが国には飛鳥時代に朝鮮半島から伝えられた。法隆寺金堂の『釈迦三尊像』,長野善光寺の本尊はこの形式。

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世界大百科事典(旧版)内の一光三尊の言及

【善光寺式阿弥陀三尊】より

…三尊足下の蓮台は臼形蓮台とよばれ,蓮肉部の高い垂敷蓮華である。光背は大きな舟形光背で,光中に七化仏があり,1光背中に三尊が納まるところから一光三尊と称する。この形式の像は鎌倉時代から流行し,全国に200余体を数える。…

※「一光三尊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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