善源寺庄(読み)ぜんげんじのしよう

日本歴史地名大系 「善源寺庄」の解説

善源寺庄
ぜんげんじのしよう

現都島区善源寺町付近にあった多田ただ(現兵庫県川西市多田神社)の庄園。建武四年(一三三七)七月、足利尊氏が源氏の宗廟多田院への信仰の証として諏方三郎左衛門尉の欠所地であった善源寺東方の地頭職を寄進したことから多田院領となった(同月二五日「足利尊氏寄進状」多田神社文書、以下同神社文書は個別文書のみ記す)

南北朝動乱のなかで、多田院が当庄の支配を推進していくには多大の困難を伴った。観応元年(一三五〇)には、旧主の諏方三郎左衛門尉の代官違乱をはたらき、多田院住持は足利直義に訴えてそれを停止してもらわねばならなかった(同年一二月一八日足利直義書下)。また貞治五年(一三六六)六月九日には、西成にしなり郡守護の畠山義深が「中島善源寺」地頭職を多田院雑掌に去り渡す措置を講じている(畠山義深書下)。康暦二年(一三八〇)この地頭職はまたもや近隣の者に押領され、管領斯波義将は守護渋川満頼に、違乱を停止するよう二度にわたって命じているが、押領の中心になったのは赤松義則・楠木中務大輔の家人らで、多田院雑掌を追出し狼藉をはたらいた(同年六月三日および七月一六日足利将軍家御教書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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