家庭医学館 「喉頭ストロボスコープ」の解説
こうとうすとろぼすこーぷ【喉頭ストロボスコープ】
「のど笛(ぶえ)」ということばがありますが、声帯が音を出すしくみは草笛やファゴットなどの笛が音を出すのによく似ています。つまり、やわらかい2枚のひだ(声帯)の間に息を吹き入れることで、声帯が規則正しく振動し、開閉運動を行なって音を出すのです。
2枚の声帯の振動が左右でずれをおこしたり、不規則になったりすると、声のかれがおこります。
声帯の振動は、通常1秒間に100回以上の周期でおこり、目には見えません。
喉頭ストロボスコープは、高速の点滅光(ストロボ)を利用して声帯振動をスローモーションで観察し、嗄声(させい)(声がれ)の原因となる振動の異常を調べる装置です。
検査方法は観察光源にストロボ発光を使う以外は日常外来で行なう喉頭の観察方法と変わらず、痛みはありません。
スローモーションで見ることで、たとえば、声帯ポリープなどの隆起が声帯の間にはさまってできる閉鎖不全(息もれの原因となる)、声帯の一部がかたくなったり、左右の声帯に重さや張りのちがいが生じておこる不規則振動(がらがらとした声の原因となる)などを詳しく検査することができます。
とくに喉頭がんでおこる声帯粘膜(せいたいねんまく)の硬化の早期発見、一見、ポリープとまぎらわしい声帯嚢胞(せいたいのうほう)(声帯内に粘液をためたふくろができ、嗄声が重症)の診断などに威力を発揮します。
耳鼻科(じびか)で日常的によく使用されますが、音声障害の専門外来にはなくてはならない装置です。