俗に〈かれ声〉〈しわがれ声〉などといわれるが,医学の領域では,こういった声の音質の異常を一般に嗄声という。喉頭とくに声帯を中心とする病気では,最も高頻度にみられる症状の一つである。声も音の一種であるから,音としての三つの性質,つまり高さ,強さ,音色の3要素をもち,病気に応じて,この各要素について障害が起こると考えられている。しかし嗄声の評価は必ずしも容易ではなく,その性質,程度の判定には聴覚心理的要素を伴う。通常,判定の尺度として,粗糙(そぞう)性,気息性,無力性および努力性の4要素と全体としての程度の計5種類について,0から3までの4段階で評価される。これらの聴覚現象からの分類と音響物理量との対応は,まだ完全に明らかにされたとはいえず今後の課題である。なお有響性の声の成分がまったくない気流雑音のみの場合は失声aphoniaといい,嗄声とは区別される。嗄声の改善には原則として原疾患の治療が行われる。
→声
執筆者:吉岡 博英
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
→かれ声
…また障害が広く,両側にわたるようなときは生命が危険となる。(1)脳神経の障害 迷走神経の障害では,嚥下困難(食物をうまく飲み込むことができない),嗄声(させい)(しわがれ声),失声(声がかすれて出ない)などが起こる。舌咽神経の障害では,唾液の分泌の減少,味覚障害,咽頭の感覚障害が起こる。…
…
[喉頭の病気]
喉頭疾患の一般的症状としては,まず音声障害が挙げられよう。音質の障害を一般に嗄声(させい)というが,喉頭炎や声帯ポリープ,声帯結節などのほかに喉頭癌でも初発症状としてこれがあらわれることが多い。また気道狭窄を伴うと,呼吸困難や喘鳴(ぜんめい),咳などの症状を呈することがあるが,これは喉頭腫瘍のほかに,喉頭炎,両側声帯正中位固定症などでみられる。…
…これらは,以下に述べるように,症状に違いがあるばかりでなく,リンパ節転移の発生の早さなどにも関係があり,治療法決定のうえで欠くべからざる所見であるとともに予後判定にも重要な根拠を与える。一般に声門癌(声帯癌ともいう)での初発症状は嗄声(させい)である。長期にわたり治りにくいしわがれ声が頑固に続くときは癌を疑うことがたいせつである。…
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[声の病気]
ある人の声が,その人の年齢や性などからみて不自然であるような性質をもっていれば,声の異常があると判断する。一般に声の異常としては,声がかれるとか,声がかすれるとか表現される状態が多く,これは声の音色の異常が起こっているもので,このような異常な声を総称して嗄声(させい)とよんでいる。 嗄声は,声帯に病的な変化があって声帯の振動が不規則になったり,声帯が十分に閉じないで呼気がもれてしまうようなときに起こる。…
…これらの病気では,上述した声帯の諸機能が種々の程度で欠落ないし損傷されるので診断の助けとなる。すなわち喉頭癌のうちでも声帯癌では,ごく初期のうちから嗄声(させい)が出現して早期発見の手がかりを与える。声帯炎や声帯結節などでは,息もれの強い嗄声となることが多い。…
※「嗄声」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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