普及版 字通 「嘗(漢字)」の読み・字形・画数・意味
嘗
人名用漢字 14画
[字訓] なめる・こころみる・かつて
[説文解字]
[金文]
[字形] 形声
声符は(尚)(しよう)。〔説文〕五上に「口にて之れを味ふなり」とし、声とする。金文の字形は、冂(けい)形の台下に旨をしるし、台上に小点を八の形に加える。八は神気の彷彿として下ることを示す形。旨は詣・稽の初文である(けい)が、祝して神霊を招き、神霊の詣(いた)るのを首(稽首)して迎える形であることからも知られるように、曰(えつ)(祝告)に対して霊の格(きた)り臨むことをいう字。それで嘗とは、供薦して神を迎え、神の詣(いた)ることをいう。〔漢書、礼楽志〕「百鬼(もつ)て嘗(しやう)す」の注に「之れを(きんきやう)するを謂ふなり」とあって、祭祀を(う)ける意である。新穀を供して、神が(う)けするので、神嘗といい、新嘗という。〔周礼、天官、膳夫〕「膳夫、祭に授くるに品ごとに嘗(しやうしよく)し、王乃ちす」とは試食の意。それで嘗試の意となる。嘗試を終えたことから「嘗(かつ)て」の意となる。
[訓義]
1. 神に供する、神が食らいうける、秋の祭。
2. こころみる、供薦に適するかどうかをこころみる。
3. なめる、あじわう。
4. かつて、すでに終わったこと。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕嘗 ナム・ナメミル・ツネニ・カツテ・ムカシ・ココロミル・シバラク・オコナフ・オホニハノヱ・マツリ・アヘテ/嘗 カムニヘ/大嘗 オホムベ/新嘗 ニヒナメ/須嘗 サイツコロ/相嘗 アヒムベ 〔字鏡集〕嘗 イニシヘ・シバラク・ココロム・カツテ・マツル・ナメミル・オコナフ・ココロミル・マツリ・ムカシ・アヘテ・マコト・アヂハフ・ツネニ・ナム
[語系]
嘗・zjiangは同声。は向(まど)に神を迎えて祀り、上に神気のあらわれる形。神が来ってその供薦をけすることを嘗という。常zjiangは同声、曾dzngも声近く、みな「かつて」という訓がある。
[熟語]
嘗悪▶・嘗▶・嘗禾▶・嘗灸▶・嘗巧▶・嘗寇▶・嘗穀▶・嘗祭▶・嘗試▶・嘗祀▶・嘗字▶・嘗酒▶・嘗羞▶・嘗黍▶・嘗烝▶・嘗食▶・嘗新▶・嘗▶・嘗饌▶・嘗膳▶・嘗胆▶・嘗敵▶・嘗麦▶・嘗糞▶・嘗味▶・嘗薬▶・嘗粒▶・嘗▶
[下接語]
烝嘗・神嘗・新嘗・親嘗・嘗・品嘗・奉嘗
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報