四重極モーメント(読み)しじゅうきょくもーめんと

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

四重極モーメント
しじゅうきょくもーめんと

電気四重極モーメントと磁気四重極モーメントとがあり、普通、前者をさす。電荷分布のもっとも簡単なものは点電荷で、(電気)単極子とよぶ。次に簡単なものは、正負等量の電荷がすこしずれて配置された状態で、これを(電気)双極子または二重極とよぶ。電気四重極は、向きが反対の電気二重極がすこしずれているような電荷分布状態をいう。二重極のずれ方によって四重極には二つの型がある。四重極の強さを表すのが四重極モーメントである。これは四重極のもとになる双極子の強さ(モーメント)とそのずれとの積の量であるが、正確には3行3列の行列として表される量である。
 原子核は原子番号に比例する体積をもつ粒子であり、その中に陽子の電荷が一様に分布していると考えてよい。もし、原子核の形が球形なら、その四重極モーメントは0である。その球形が一つの軸方向に伸びて細長い回転楕円(だえん)体の形をしていれば正の四重極モーメントをもつ。核スピン1以上の原子核のみが四重極モーメントをもつことができる。四重極モーメントが電界(電場)の中に置かれるとき、電界勾配(こうばい)に比例した力のモーメントを受ける。それゆえ、核磁気共鳴において、四重極モーメントをもつ原子核については磁気双極子の共鳴とともに電気四重極共鳴も観測され、物質内部の局所的な電界勾配を見積もることができるので、物質の内部構造の研究に利用できる。[山口重雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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