家庭医学館 「回帰熱(再帰熱)」の解説
かいきねつさいきねつ【回帰熱(再帰熱) Relapsing Fever】
回帰熱スピロヘータの感染によっておこる伝染病で、病人や、このスピロヘータを保有するネズミ、リスなどから、シラミ、ダニの媒介(ばいかい)で人間に感染します。
アジア・アフリカ・アメリカ大陸の熱帯圏の風土病で、これらの地域からもち込まれて小流行することがあるので、日本では感染症予防法の4類感染症に指定されています。
[症状]
潜伏期間は3~9日です。感染後、5~7日で寒け、震えをともなって40℃前後の高熱が出ます。頭痛、腰痛(ようつう)、筋肉痛のほか、嘔吐(おうと)、軽い黄疸(おうだん)、皮下出血(ひかしゅっけつ)などもおこります。重症になると、意識が混濁(こんだく)し、うわごとをいったりします。
熱は、4~7日くらい続いて急に下がり、ほかの症状も回復しますが、1週間前後の平熱の期間をおいて、また発熱をはじめとする症状がぶり返します(この病名の由来)。ときに、3回、4回とくり返すことがあり、この場合は、しだいに間隔がのび、熱が低くなり、そのほかの症状も軽くなります。
症状と血液の顕微鏡検査でスピロヘータが見つかることで診断がつきます。
[治療]
テトラサイクリン系抗生物質やペニシリンが有効です。
シラミやダニの駆除(くじょ)、ネズミ捕殺、病人の隔離(かくり)を励行します。港湾、空港での検疫(けんえき)も行ないます。