ばいかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ばいかい」の意味・わかりやすい解説

ばいかい

証券取引所の会員である証券業者が、株式売買に際し、銘柄数量価格、受渡し期間の同じ売り注文と買い注文とを付き合わせて売買契約を締結させること。同一証券業者が売り(ばい)と買い(かい)を同時に出すことから、「ばいかい」という。ばいかいには、委託による売買注文を個別に契約しないで、顧客同士の売り・買いを一括して付け合わせる「付け合わせばいかい」と、委託注文に対して、ほかに売り呼び値または買い呼び値のないとき、証券会社が自己の勘定反対の売買を付け合わせて売買をまとめる「仕切りばいかい」とがある。ばいかいによって証券業者は、取引所内で成立した価格を利用し安定価格で大量の売買注文をまとめることができるという利点がある反面、時間優先の基本原則が無視され、公正な価格形成が阻害されるなどの弊害もあって、株式取引については禁止された。その後、この付け合わせが取引所の立会場内で行われるクロス売買(商いばいかい)にこの売買方法が用いられるようになった。なお、債券取引については、ばいかいが認められている。

[桶田 篤]

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百科事典マイペディア 「ばいかい」の意味・わかりやすい解説

ばいかい

証券取引用語。同一業者が同一銘柄,同一数量の株式について同一価格,同一受渡期限で売りと買いを組み合わせ,取引所の帳簿の上で売買を同時に行う方法。多額の注文を処理し,価格を安定させる利点と同時に公正な価格形成を妨げる等の欠点もあり,1967年10月以降禁止され,かわってクロス商いが導入された。クロス商いでは自社内で突き合わせるのでなく,取引所に出して売買を成立させる。機関投資家など大口の注文を処理する際に利用されることが多い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ばいかい」の意味・わかりやすい解説

バイカイ

取引所の会員が,同一種類の取り引きにおいて,同一銘柄,同一数量,同一価格の売物買物を同時に行なうこと。同一会員が売手買手になって「売」と「買」とを同時に出すところからバイカイの名がついた。大量の売買を円滑に処理できるという利点はあるが,取引価格の公正を害したり,市場における時価とは別個の価格による売買を可能にして,市場価格に対する一般の不信を買うなどの欠点があり,1967年10月以降廃止された。

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普及版 字通 「ばいかい」の読み・字形・画数・意味

【霾】ばいかい

字通「霾」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内のばいかいの言及

【クロス】より

…証券取引所はその定款において会員に市場集中義務を課しており,また証券取引法も,取引所における売買取引の受託を受けた会員が,その売買を自己が相手方となって市場外で成立させることを禁じている。クロスは1967年10月以降,バイカイに代わり株式の大量売買方法として採用された。バイカイとは,同一証券会社がある銘柄につき,同一価格,同一数量の売りと買いを同時に行うことで,顧客と顧客の注文を付け合わせる付合せバイカイと,顧客の売りまたは買い注文に対し,自己計算で付け合わせる仕切りバイカイがある。…

※「ばいかい」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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