ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「回折法」の意味・わかりやすい解説 回折法かいせつほうdiffraction method X線などの波をあて,その散乱の様子から結晶や分子内の原子の配列を分析する方法。X線回折,電子回折,中性子回折が知られている。波はおもに結晶の表面の原子と衝突して多方向に散乱されるが,原子が規則的に配列されていると,各原子から特定の方向に散乱された成分が干渉して強め合い,反射光に模様が生じる。その模様から物質内部の原子配列を推定する。20世紀初頭に,波長が原子の間隔と同程度である X線を使って行なわれたのが最初だが,1927年にデービソン=ジャーマーの実験により電子でも同じ現象が起こることが発見され,電子が波の性質をもつことの証拠となった。さらに 20世紀中頃には中性子線を使った実験も可能になった。中性子は原子の周囲にある電子によっては散乱されないので,水素など特に軽い原子核の配列をより明瞭に検出でき,生体高分子の解析に利用される。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by