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中性子回折 ちゅうせいしかいせつneutron diffraction

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

中性子回折
ちゅうせいしかいせつ
neutron diffraction

L.V.ド・ブロイが指摘した中性子のもつ波動の性質の1つ。物質と熱平衡になっている中性子 (熱中性子 ) の平均波長は1Å程度なので,X線と同様に結晶構造の解析に利用される。原子炉から取出した連続スペクトルの熱中性子を,鉛や銅などの単結晶で回折させて均一波長の中性子を選び出し,これを試料に当てて回折像を得る。各原子核によって散乱の程度が違うので,中性子回折による原子の識別,水素などの軽い原子の位置の決定,中性子の磁気モーメントと磁性体結晶との相互作用の解析など,X線回折法を補う広い応用分野がある。
(→ド・ブロイ波 )

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デジタル大辞泉の解説

ちゅうせいし‐かいせつ〔‐クワイセツ〕【中性子回折】

中性子の物質波としての波動性を利用した回折現象。結晶構造および磁気構造の解析をはじめ、物性物理学、材料科学の研究に利用される。

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世界大百科事典 第2版の解説

ちゅうせいしかいせつ【中性子回折 neutron diffraction】

中性子の回折現象。中性子は波動性を示し,その波長は中性子のもつ運動エネルギーに逆比例する。原子炉内で減速された熱中性子の波長は1Å(10-8cm)程度になり,ちょうど結晶や分子を構成している原子の間隔と同程度になる。この程度の波長の波は電磁波ではX線に対応し,X線が原子の格子や分子の配列で回折現象を起こす(X線回折)ように,熱中性子を物質にあてると回折が起こる。X線や電子線では,物質中の電子からの散乱により回折現象が起き,その基本は電気的相互作用である。

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大辞林 第三版の解説

ちゅうせいしかいせつ【中性子回折】

中性子線が結晶によって回折を起こす現象。原子炉から発生する熱中性子などが用いられ、 X 線回折では観測しにくい結晶中の水素原子の位置の確認や、結晶の磁気的構造を調べるのに用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

中性子回折
ちゅうせいしかいせつ
neutron diffraction

波長が0.1ナノメートル前後の熱中性子が物質中で弾性散乱され、X線と同様に結晶でブラッグ反射する現象。非弾性散乱も含めて、中性子の物質による散乱を総称するときは中性子散乱という。詳細は「中性子散乱」の項目を参照されたい。[岩佐和晃]

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