回覧板(読み)カイランバン

デジタル大辞泉 「回覧板」の意味・読み・例文・類語

かいらん‐ばん〔クワイラン‐〕【回覧板】

順送りにして伝える告知板。特に、町内会などで、通達・連絡事項などを記した文書をとじつけて各家庭へ回す板。第二次大戦中の隣組制度に伴って普及した。

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精選版 日本国語大辞典 「回覧板」の意味・読み・例文・類語

かいらん‐ばんクヮイラン‥【回覧板】

  1. 〘 名詞 〙 順々にまわして見る、告知文書を付けた板。昭和一五年(一九四〇)に町会隣組制度とともに生活にはいってきたもの。
    1. [初出の実例]「廻して頂戴回覧板(クヮイランバン)」(出典:国民歌謡・隣組(1940)〈岡本一平〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「回覧板」の意味・わかりやすい解説

回覧板
かいらんばん

地域社会のお知らせ文書などを、板や厚紙につけて各家庭を回すもの。1939年(昭和14)夏、前年から隣組整備推進中の東京市が、隣組回覧板10万枚を配布したという記録があり、翌40年9月、臣道実践・上意下達を目的とした町内会整備の内務省訓令で、岡本一平作の国民歌謡『隣組』「回して頂戴(ちょうだい)回覧板 知らせられたり知らせたり」のメロディにのり全国に普及した。回覧内容は配給、防空訓練、国債貯蓄、納税などであった。近隣交際を好まない都会では反発もあり、47年(昭和22)の隣組廃止とともに一般からは姿を消したが、町内会や団地その他でいまも用いられている。公職選挙法第142条には、選挙運動のための回覧板使用は文書頒布とみなすという禁止規定がある。

[森脇逸男]

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世界大百科事典(旧版)内の回覧板の言及

【隣組】より

…規模は10戸内外とされ,緊密な人間関係の〈美風〉によって,防空,防火,防諜,防犯,国民貯蓄,物資配給を円滑に行うことが目ざされた。そのため隣組常会には,隣組員全員の出席が求められ,また情報や指示を伝える隣組の回覧板が常時回された。ここに,政府―都道府県知事―市町村長―部落会,町内会―隣組という縦の上意下達機構が整備され,政府の宣伝,伝達を末端において受けとめる組織が完成したといえよう。…

※「回覧板」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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