岡本一平(読み)おかもといっぺい

日本大百科全書(ニッポニカ)「岡本一平」の解説

岡本一平
おかもといっぺい
(1886―1948)

画家。北海道函館(はこだて)に生まれる。3歳のときから東京・京橋で育ち、1903年(明治36)商工中学校を卒業後、武内桂舟(けいしゅう)、徳永柳州、藤島武二(たけじ)について洋画の指導を受けた。06年東京美術学校西洋画科に入学、在校中帝展へ『トンネル横町』を出品入選した。10年美校卒業後、和田英作のもとで新築の帝国劇場の天井画、舞台背景・装置の仕事に携わり、ついで12年東京朝日新聞社に入社、漫画に筆を振るった。その洒脱(しゃだつ)で洗練された画調と、人間味に富んだユーモラスな文章は大衆の人気を集めた。また権力に抗する庶民的な感覚は、政治漫画において鋭く発揮され、それまでポンチ絵と見下されていた漫画を庶民の芸術として認めさせ、今日一般化した社会・政治風刺の漫画、戯画の先鞭(せんべん)をなす功績を残した。著書に『世界漫画漫遊』『弥次喜多(やじきた)再興』(ともに1924)『一平全集』全15巻(1929~30)などがある。小説家、歌人として有名な岡本かの子はその妻、画家岡本太郎は息子。

[永井信一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「岡本一平」の解説

岡本一平
おかもといっぺい

[生]1886.6.11. 函館
[]1948.10.11. 岐阜,古井
画家,漫画家。武内桂舟,藤島武二に師事。 1910年東京美術学校西洋画選科卒業。翌年第5回文展に『トンネル横丁』が入選。 12年朝日新聞社に入り漫画を担当,毛筆を主としたユーモアに富む漫画と漫文で人気を博した。 27年春陽会会員となり,29年から一家そろって渡欧。夫人は作家の岡本かの子,1子は画家の岡本太郎清水崑近藤日出造,宮尾しげを,横山隆一は一平の門下生。著書に『岡本一平全集』 (15巻) がある。主要作品は『夏目漱石像』。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus「岡本一平」の解説

岡本一平 おかもと-いっぺい

1886-1948 大正-昭和時代の漫画家。
明治19年6月11日生まれ。妻は岡本かの子。岡本太郎は長男。東京美術学校(現東京芸大)卒業後,和田英作のもとで帝国劇場の舞台美術にたずさわる。大正元年東京朝日新聞社にはいり,「漫画漫文」形式の作品で人気をえる。宮尾しげを,近藤日出造らをそだてた。昭和23年10月11日死去。63歳。北海道出身。著作に「紙上世界漫画漫遊」など。

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百科事典マイペディア「岡本一平」の解説

岡本一平【おかもといっぺい】

漫画家。函館生れ。藤島武二に師事,東京美術学校西洋画科卒業後,帝国劇場の天井画,舞台装置などに携わる。1912年東京朝日新聞社に入社して漫画を始め,鋭い描写と警句的漫文により特に政治漫画に新生面を開拓。1922年と1929年―1932年外遊。代表作《世界漫画漫遊》《弥次喜多》。岡本かの子は妻,岡本太郎はその子。
→関連項目近藤日出造清水崑漫画横山隆一

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デジタル大辞泉「岡本一平」の解説

おかもと‐いっぺい〔をかもと‐〕【岡本一平】

[1886~1948]洋画家・漫画家。北海道の生まれ。東京朝日新聞社に入社、漫画担当となり、鋭い描写と警句で社会や政治を風刺した。現代漫画の創始者。かの子は妻。

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精選版 日本国語大辞典「岡本一平」の解説

おかもと‐いっぺい【岡本一平】

漫画家。北海道出身。東京朝日新聞社に入社し、風刺漫画のジャンルを開いた。明治一九~昭和二三年(一八八六‐一九四八

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世界大百科事典 第2版「岡本一平」の解説

おかもといっぺい【岡本一平】

1886‐1948(明治19‐昭和23)
漫画家。函館に生まれる。妻のかの子は小説家,子の太郎は画家。藤島武二に師事,1910年東京美術学校西洋画科卒業,帝国劇場の舞台美術に従事したが,12年東京朝日新聞社に入社し,漫画を描く。人間生活の機微にふれた鋭い描写と軽妙な警句(漫文)によって従来のポンチ絵的な漫画の形式を一変させ,また政治漫画にも一時期を画する。19年ころより妻かの子とともに禅し,その作風にも仏教の影響があらわれる。22年ヨーロッパに遊び,24年《世界漫画漫遊》を出版。

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世界大百科事典内の岡本一平の言及

【岡本かの子】より

…かの子は兄の影響をうけ,《明星》に新体詩や和歌を発表,《スバル》の同人にもなった。1910年に画家岡本一平と結婚したが,性格上の衝突など夫婦間の問題に悩み,ついに仏教にたどり着く。この間,《青鞜》に参加,また《かろきねたみ》(1912),《愛のなやみ》(1918)などの歌集を刊行した。…

【漫画】より

…英仏漫画家の政治風刺は,日本人に刺激を与え,《団々珍聞(まるまるちんぶん)》に本多錦吉郎,小林清親の時事漫画があらわれ,《時事新報》の北沢楽天(1876‐1955)が,1905年に漫画雑誌《東京パック》を創刊するに至って,政治風刺を主眼とする漫画の流れがあらわれた。その際に,《鳥獣戯画》をはじめ《地獄草紙》《餓鬼草紙》《病草紙》,江戸時代に入っての浮世絵,大津絵,鳥羽絵,さらに南画,禅画等における漫画的手法が掘り起こされて,大正時代に入っての岡本一平,近藤浩一路,池部鈞,前川千帆,宮尾しげをの漫画があらわれる。岡本一平が1921年に《朝日新聞》に連載した《人の一生》は漫画入り小説として日本最初の作である。…

※「岡本一平」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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