日本大百科全書(ニッポニカ) 「国連開発資金国際会議」の意味・わかりやすい解説
国連開発資金国際会議
こくれんかいはつしきんこくさいかいぎ
United Nations International Conference on Financing for Development
開発途上国の貧困撲滅と経済成長に必要な資金をいかに確保し、どのように活用するかを話し合う国際連合の首脳・閣僚級会議。2002年にメキシコのモンテレーで初めて開き、2008年にカタールのドーハで第2回会議を、2015年にはエチオピアのアディス・アベバで第3回会議を開催した。第3回会議には約210の国・機関等が参加した。政府開発援助(ODA)や民間資金の活用のほか、石油使用などにかける炭素税の導入、外国為替(かわせ)取引への課税など新たな財源確保がテーマである。有効に開発資金を活用するため、エイズなどの感染症対策や環境対策を目的とする基金を設立するほか、途上国経済を分析できる人材の育成、非政府組織やボランティアなど社会起業家との協力も主要な議題である。
国連は2000年のミレニアム・サミット宣言で、2015年までに世界のODA総額を年間500億ドルから1000億ドルに倍増するとの目標を打ち出した。これを受け、第1回国連開発資金国際会議では、先進各国はその国の経済規模を表す国民総所得(GNI)の0.7%をODAにあてるとの目標を盛り込んだ「モンテレー合意」を採択したが、目標達成時期は明記されなかった。2013年(平成25)時点で、日本のODAはGNIの0.23%にとどまっており、アメリカ(0.19%)、ドイツ(0.38%)、フランス(0.41%)など先進国のほとんどが未達成である。第3回会議では、GNIの0.7%をODAにあて、そのうち0.15~0.20%を後発開発途上国に割り当てるとの目標を明記した「アディス・アベバ行動目標」を採択したが、目標時期は明記されなかった。また「あらゆる形の国際金融機関の創設を歓迎する」との表現で、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を歓迎した。
[矢野 武 2015年12月14日]