日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
国際電気通信基礎技術研究所
こくさいでんきつうしんきそぎじゅつけんきゅうしょ
電気通信分野における基礎的、独創的な研究を推進する研究所。同分野における関西の拠点として、産官学の支援のもとに、1986年(昭和61)に株式会社として発足した。脳情報科学、知能ロボット、音声自動翻訳、無線通信技術などの分野を中心に、国内外の大学や研究機関、企業などとの共同研究を進めている。英語名はAdvanced Telecommunications Research Institute International、略称ATR。本社は当初、大阪ビジネスパークに置いていたが、1989年(平成1)、京都府精華町(けいはんな学研都市)に中核となる研究所を開所したのに伴い、同地に移った。2004年(平成16)に研究成果を市場展開するため、子会社としてATR-Promotions(エーティーアール プロモーションズ)を設立した。2010年に、脳情報や認知機構などを研究する脳情報通信総合研究所と、知能ロボティクスや波動工学などを研究する社会メディア総合研究所の2総合研究所体制に改組した。
2013年4月には、睡眠中の脳活動から、みている夢の内容の解読に世界ではじめて成功し、アメリカのサイエンス誌Science Express電子版に掲載された。この研究については、心理状態の可視化によって精神疾患の診断などへの応用が期待されている。2013年4月時点の資本金は1億円。株主はNTT、KDDIなど116社。社員数206名のうち、研究員が162名を占める。
[編集部]