土山遺跡(読み)どやまいせき

日本歴史地名大系 「土山遺跡」の解説

土山遺跡
どやまいせき

[現在地名]名張市百合が丘西四番町

名張盆地東南部に張出した前山まえやま丘陵(標高約三三〇メートル)は現在宅地造成されているが、丘陵の西部はもと二つの大きな尾根に分れ、谷間の南斜面は旧大字青蓮寺しようれんじの土山に位置した。昭和五二年(一九七七)宅地造成に先立ち発掘調査され、弥生古墳鎌倉時代遺構が検出された。弥生時代の遺構は前期の土壙と、後期の急斜面を削平したテラス状の遺構で、前期の土壙および周辺の包含層からは、名張地方では弥生時代最古に位置づけられる前期中頃の土器とともに、東海系の条痕土器が出土した。後期のテラス状遺構は三ヵ所検出されたが、いずれも性格が不明で、竪穴住居地の一部である可能性もある。古墳時代の遺構は斜面に階段状に築かれた中期の竪穴住居跡五棟と、岩盤露頭の周辺三ヵ所から検出された中期の祭祀遺構である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報