瓦器(読み)ガキ

デジタル大辞泉 「瓦器」の意味・読み・例文・類語

が‐き〔グワ‐〕【瓦器】

素焼き陶器。主に古代の灰黒色土器をいう。かわらけ。

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精選版 日本国語大辞典 「瓦器」の意味・読み・例文・類語

が‐きグヮ‥【瓦器】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 素焼き土器の総称。かわらけ。〔漢書‐鮑宣伝〕
  3. 奈良平安時代の寺院跡などから出土する灰黒色の瓦質の土器。碗(わん)、皿、坏(つき)が多く、須恵器(すえき)より軟質近畿地方に多い。

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改訂新版 世界大百科事典 「瓦器」の意味・わかりやすい解説

瓦器 (がき)

11世紀から14,15世紀ごろまで,畿内とその周辺で製作された土器。器面を密に仕上げるため,器の内外をへらで磨き,いぶし焼きをして全面に炭素を吸着させ,独特の灰黒色を呈する。碗が圧倒的に多いが,皿や釜などもある。土師器(はじき)系の土釜や皿,須恵器系の鉢や片口,すり鉢などとあわせて日常雑器として使用された。奈良・平安時代の土師器のなかに,器面をへらで磨き,炭素を吸着させた黒色土器と呼ばれるものがあるが,成形や焼成の技法と器形などはその系譜ひき,ろくろは使用していない。ただし,焼成に本格的な窯を使用しなかったと推定されるほとんどの黒色土器とちがって,いぶし焼きに適した窯を使用して焼きあげられたと考えられている。製品は関東から九州地方まで広く出土しているが,大和河内和泉紀伊丹波にそれぞれ製作の拠点があり,出土品もこれらの地方に圧倒的に多い。生産と主たる流通はほぼこれらの旧国程度の範囲を単位としたものである。
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普及版 字通 「瓦器」の読み・字形・画数・意味

【瓦器】が(ぐわ)き

素焼き。かわらけ。〔三国志、魏、裴潜伝〕令して儉せしむ。中に惟だ一坐の瓦數枚を置き、其の餘は一も設くる無し。

字通「瓦」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「瓦器」の意味・わかりやすい解説

瓦器
がき

平安時代から室町時代にかけて近畿地方を中心に分布する瓦質(がしつ)の土器。精良な粘土を使用し、いぶし焼きして炭素を吸着させたもので、器表は黒色、器肉は灰白色を呈し、内外面に磨き調整がなされている。器形は椀(わん)が大半で、小椀・小皿もある。これまで手づくね成形とされていたが、内型を使用したとする説もある。中世遺跡の発掘が進むにつれ、西は瀬戸内・九州、東は鎌倉などからも出土することが明らかになってきた。

[松下正司]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「瓦器」の意味・わかりやすい解説

瓦器
がき

瓦質土器ともいう。日本において先史時代の土器を除いた素焼の器物の総称。土師器 (はじき) ,須恵器を含める場合と含めない場合などがあり一定しない。

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世界大百科事典(旧版)内の瓦器の言及

【陶磁器】より

…それらは大きく土師器系,須恵器系,瓷器系に分かれる。まず土師器系には土師器そのものと瓦器がある。土師器の主要な器種は食器としての椀・皿類,煮沸用の堝(なべ)(鍋)・釜類である。…

※「瓦器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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