圧力をかけて容積を押し縮めた気体。普通は常温では液化しない程度に圧縮した高圧のガスをいい、圧力は1平方センチメートル当り10キログラム(35℃)以上のものをさす。同じ質量の気体でも圧縮することで、持ち運びが便利になる。たとえば、高さ140センチメートル、直径23センチメートルのボンベ(約0.06立方メートル)にも、7立方メートル(常圧下に換算)の酸素や窒素、あるいは水素を詰めることができる。容積が小さくなり、気体を取り扱うのが便利になるため、市販するのには鉄製のボンベが多く用いられている。圧縮空気は簡単につくることができ、鉄道車両のブレーキやドアの開閉など、さらには各種機械の動力源などに広く用いられる。圧縮酸素は溶接、人工呼吸、実験などに、圧縮水素は高温加熱用などに用いられる。圧縮ガスの性質は常圧の気体と異なり、理想気体の法則に従わなくなる。これは気体分子間の距離が接近するためである。圧縮して液体となる液化ガスとは区別することがある。
[戸田源治郎・中原勝儼]
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