圧電材料(読み)あつでんざいりょう(その他表記)piezoelectric material

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「圧電材料」の意味・わかりやすい解説

圧電材料
あつでんざいりょう
piezoelectric material

圧電性 (機械的ひずみを与えたとき電圧を発生する,あるいは,逆に電圧を加えると機械的ひずみを発生する性質) を示す結晶性物質の総称。振動子,発火素子,音響素子,情報用素子など広い応用がある。たとえば水晶などの絶縁体単結晶やニオブ酸リチウムタンタル酸リチウムなどの強誘電体単結晶は優れた圧電材料で各種の圧電素子に使用されている。特に水晶は現在までに知られている圧電材料のうちで最も正確に振動する振動子をつくることができるという特徴があり,発振子として時計,コンピュータなどに多用されている。酸化亜鉛硫化カドミウムなどの II-VI族化合物半導体ヒ化ガリウムなどの III-V族化合物半導体も圧電性を有し,これらは圧電半導体と呼ばれる。なかでも酸化亜鉛は電気機械結合係数が大きいので薄膜を用いた表面波フィルタが実用されている。さらにチタン酸バリウムPZT ,PLZTなどの圧電セラミックスは,安価で製法が簡単なこと,任意の形状に加工可能なこと,安定性に優れ,電気機械結合係数が大きいことなどの長所をもつので圧電材料として最も広範囲に応用されている材料である。また,ポリビニリデンフルオライド polyvinylidene fluoride [CH2-CF2]n (略称 PVF2 ) などの有機高分子膜も圧電材料として注目されている。

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化学辞典 第2版 「圧電材料」の解説

圧電材料
アツデンザイリョウ
piezoelectric material

高い圧電効果をもち,それを利用するために用いられる材料.無機系圧電材料として,水晶,酸化亜鉛,窒化アルミニウム,ニオブ酸リチウム,ニオブ酸カリウム,チタン酸バリウムなどの単結晶材料(圧電結晶)が知られ,種々の分野で用いられている.また,セラミックス圧電材料(圧電セラミックス)として,PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)セラミックスやPZTを中心に化学組成を変化させたセラミックスなどが用いられている.これに対し,有機系圧電材料として,PVDF(ポリ(フッ化ビニリデン))などの圧電高分子材料が知られている.また現在では環境問題への対応から,鉛のような有害元素を含まない新しい圧電セラミックスが求められている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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