日本大百科全書(ニッポニカ) 「地獄の黙示録」の意味・わかりやすい解説
地獄の黙示録
じごくのもくしろく
Apocalypse Now
アメリカ映画。1979年作品。フランシス・フォード・コッポラ監督。ジョゼフ・コンラッドの小説『闇の奥』を下敷きに、ベトナム戦争を背景として、軍に背いたカーツ大佐(マーロン・ブランド)を追ってベトナムのジャングルを奥へと進むウィラード大尉(マーチン・シーンMartin Sheen、1940― )らの探索の「旅」を描いた大作。ワーグナー作曲の「ワルキューレの騎行」を鳴らしながらベトコン(南ベトナム解放民族戦線)の潜む村を奇襲する米軍ヘリ部隊、狂乱の場と転じるバニー・ガールによる慰問ショー、ジャングルの最奥地に築かれたカーツ大佐の異様な「王国」など、未開の風土と限界状況のなかでさまざまな地獄絵図が展開する。莫大な製作費を費消した長期にわたる苦難の撮影も話題となった。カンヌ国際映画祭パルム・ドール、アカデミー撮影賞、音響賞を受賞。2001年には、当初カットされた数シーンを追加し、初公開時よりも49分長い『地獄の黙示録 特別完全版』が公開された。
[宮本高晴]