朝日日本歴史人物事典 「坂田半五郎」の解説
坂田半五郎(初代)
生年:天和3(1683)
江戸前期の歌舞伎役者。2代目坂田藤十郎の門弟。屋号正月屋,俳名杉暁。田舎芝居の立者から江戸の大芝居に進出した。敵役,実事から実悪に転じ,実事,荒事,敵役をはじめとして愁嘆事,男伊達などをよくしたが,特に実悪を本領として上手と評せられた。出世芸となった朝比奈三郎を代表として,当たり役に鎌田正清,横川覚範,安倍貞任,佐藤忠信などがある。江戸市村座の舞台上で没した。坂田半五郎の名跡は明治まで5代を数えるが,4代まではいずれも実悪をもって名を著し,特に2代目半五郎がこの名跡を確固たるものとした。
(池上文男)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報