改訂新版 世界大百科事典 「基本星表」の意味・わかりやすい解説
基本星表 (きほんせいひょう)
fundamental catalogue
天球面上で天体の位置と運動を記述するための基本座標系を定義する星表。基本星は,天球面上でいわば1等三角点網を構成しており,天体の位置と運動はすべてこれらの三角点に準拠して記述される。天球上の赤道を基準面として天体の赤緯が,赤道と黄道の一つの交点,すなわち春分点を起点として天体の赤経が,それぞれ測られる。しかしながら,赤道と春分点は,一般歳差によって絶えず移動するとともに,ある時期に赤道と春分点の位置を決定するのに用いられた星々の位置自身も固有運動により変化する。このような事情を考慮して,無回転の慣性系において整合性のある天体の位置と運動が任意の瞬間に与えられるように,基本星表においては基本星の精密位置,固有運動および歳差定数が掲げられている。現在,国際的に公式に採用されている基本星表は,ハイデルベルクの天文計算研究所により編纂(へんさん)されたFourth Fundamental Catalogue(FK星表ともいい,略称FK4)であって,約7.5等までの精密観測歴の長い(約50年)恒星1535個が5°四方に約1個の割合で散布されている。この基本星表には,これらの基本星の1950.0年および1975.0年における精密位置と固有運動などが掲げられている。近い将来に,FK4の改定版として2000.0年における基本星表FK5が出版される。
執筆者:宮本 昌典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報