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星表 セイヒョウ

百科事典マイペディアの解説

星表【せいひょう】

恒星表とも。恒星や星雲・星団等の名称・位置・光度・スペクトル型等を適当な順序に従って記載した一覧表。古くはプトレマイオスサマルカンドウルグ・ベク(15世紀),チコ・ブラーエ(16世紀),フラムスティード(18世紀)のものがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

せいひょう【星表 catalogue】

通常は恒星の天球上の位置を記載したカタログを意味するが,スペクトル,視線速度などの物理量の各種専門的な星表もある。古代の中国の星表には魏の時代(前4世紀ころ)の掃天観測に基づくといわれる〈石氏星経〉などがある。プトレマイオスの《アルマゲスト》にある星表はヒッパルコスの前2世紀ころの1022個の星の位置観測を138年の座標に換算したもので,その後中世までの諸星表はこれを原典として座標を換算しただけのものが多い。

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大辞林 第三版の解説

せいひょう【星表】

恒星の天球上における位置、固有運動・等級・スペクトル型などを記載した表。恒星表。恒星カタログ。恒星目録。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

星表
せいひょう
star catalogue

恒星の天球上の位置や観測的な性質(特性)についての知識を集成した星の戸籍に相当する目録。恒星目録または恒星カタログともいう。記載事項の内容により、位置を詳しく記載した位置星表、スペクトル型や等級・色指数などの特性に着目して作成した特性星表、変光星や二重星などの特殊な星を集めた天体種別星表の3種に大きく分けられる。広い意味で星表という場合、星団、星雲、銀河などの天体種別カタログも含めてさすことがある。天文学発展の歴史をみると、星の知識が増加するにつれて新しい星表が次々と刊行され、観測技術の向上や観測数の蓄積によってデータが精密になるにつれ、戸籍簿の内容も詳しくなり、改訂星表が出版されている。なかには、位置も特性も比較的詳しく記載されている総合的な性格の星表もある。最近では、多くの星表がデジタル化されて、インターネットで公開されている。[北村正利・岡崎 彰]

歴史的な星表

現存する最古の星表は、2世紀なかばにプトレマイオスが著した天文書『アルマゲスト』Almagest全13巻のなかの第7巻と第8巻がそれで、ギリシア天文学の知識を基につくった星表である。1028個の恒星の黄経・黄緯(角度の分目盛りまでの精度)と星の明るさを1等から6等までの6段階で示してある。『アルマゲスト』は天動説に基づく宇宙観を記した書の代表として知られる。そのほか、現在まで伝えられている古い星表としては、1450年にサマルカンドのウルグ・ベクの著した『ウルグ・ベク星表』、1580年のティコ・ブラーエの星表などがある。
 17世紀に入り、各種天文器機(望遠鏡、子午環、時計、測微器など)の発明により、恒星位置の観測精度は目覚ましく向上した。またヨーロッパ諸国は、海外発展のため遠洋航海を進めるうえでの航海天文学の元締めとして、国立の天文台(例、イギリスのグリニジ天文台)をつくるようになった。そのため、航海暦を作成するうえでの基礎資料としての星表の充実が必要となった。グリニジ天文台の初代台長J・フラムスティードは1712年『大英星表』を刊行し、星の位置が角度で10秒精度のものを出版した。この星表と『プトレマイオス星表』の恒星位置の比較から、第2代台長E・ハリーは恒星の固有運動を発見(1718)、その後の位置星表には固有運動の欄が含まれることになる。このような恒星位置の観測資料の増加とともに、第3代台長J・ブラッドリーによる光行差の発見(1727)と章動の発見(1747ころ)、ドイツのケーニヒスベルク天文台台長のF・W・ベッセルによる年周視差の発見(1838)が導かれることになる。[北村正利・岡崎 彰]

代表的な星表

19世紀後半に入って近代的な各種の星表が刊行された。その代表的なものをあげると次のとおりである。
 位置星表では、かつてベッセルの助手であったドイツのボン天文台台長F・W・A・アルゲランダーが、1863年と86年に北天と南天に分けて出した9.5等星までの恒星を網羅した『ボン星表』(『BD星表』ともいう)は有名である。北天星表は約32万個、南天星表は13万個の恒星位置が角度で0.1分の精度で与えられている。この種の星表はほかにも多く、南天星の『ケープ写真星表』、近年では1966年に出版された『SAO星表』4巻(アメリカのスミソニアン天体物理観測所編)などがある。それらのカタログ中の番号(BD番号、CP番号、SAO番号など)は星の名前としていまも使われている。最近では、ハッブル宇宙望遠鏡の姿勢制御の基準とするために作成された『GSC星表』(『ガイド・スター・カタログ』ともいう。1500万個)もよく使われている。
 位置星表のうちでとくに精度の高いものは基本星表とよばれ、ドイツの天文計算局の編集した『FK5星表』(1988年刊)とその『拡張FK5星表』(1991年刊)が天体の位置を決める基準として現在よく使われている。包含星数はそれぞれ1535個、3117個と比較的少数だが、位置と固有運動の精度は高く、角度で0.01秒に達する。位置の精度という点では、天文衛星の精密観測に基づく『ヒッパルコス星表』(11万8000個)がさらに優れ、角度で0.001秒に迫る。その拡張版である『チコ星表』(『タイコ星表』ともいう。250万個)の位置精度は角度で0.02秒程度である。現在、『FK5星表』の位置・固有運動のデータに『ヒッパルコス星表』のデータを統合した『FK6星表』の作成がされている。
 特性星表としては、恒星スペクトル型の分類を主目的とした『ヘンリー‐ドレーパー星表』(1917年、25年刊。『HD星表』ともいい、HD番号は星の名前としていまも使われる)が有名である。このほかに、特定の測光システム(ジョンソンHarold L. JohnsonのUBVシステムなど)による等級と色指数を定めた標準星のカタログも多数出版されている。
 総合的な性格の星表としては、エール大学から出版された7等星までの恒星の最新の多くの資料(位置、スペクトル型、色指数、三角視差、視線速度、固有運動など)を集めた『輝星カタログ』が有名である。最新の第5版(1991年刊)は電子版で出されている。このほか、2000年元期で実視等級8.0等までを集めたものが、『スカイ・カタログ2000.0』(1982年刊)としてアメリカのSky Publishing Corporationより出版されており、アマチュアにも広く使われている。
 天体種別星表は、種類が多く、分光連星表、食連星表、二重星表、変光星表、星団・星雲を集めたカタログなどがある。なかでも有名なものとして、1985~96年に旧ソ連の科学アカデミーから出版された『変光星総合カタログ(第4版)』全5巻がある。それまでに登録されたすべての変光星の情報を収めたもので、最新の4.1版(1998年)は電子版のみ。星団・星雲の星表としては、古典的には『メシエ星表』がある。これは、1781年にフランスのメシエが比較的明るい103個の星団・星雲を集めてつくった星表である。1888年にはデンマーク生まれのイギリスの天文学者ドライヤーJohann Louis Emil Dreyer(1852―1926)が、銀河系外星雲(銀河)を多く含めた約8000個を集めて『NGC星表』をつくった(NGCはNew General Catalogueの略)。ドライヤーは、さらに1895年と1908年に合計約5000個の星団・星雲を追加出版した。これは『IC星表』とよばれ(ICはIndex Catalogueの略)、たとえば、アンドロメダ銀河は、メシエ星表では31番目、NGC星表では224番目であるところから、M31、NGC224などとよばれる。
 現在では、前述した星表のほとんどはデジタル化され、インターネットでアクセスできるような形のデータベースとして公開されている。日本では、国立天文台・天文学データ解析計算センターの天文データセンターがその拠点となっている。[北村正利・岡崎 彰]
『Alan Hirshfeld, Roger W. Sinnott Sky Catalogue 2000.0, Second Edition(1991, Sky Publishing Corporation, Cambridge, Massachusetts)』

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