デジタル大辞泉
「塹壕熱」の意味・読み・例文・類語
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出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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塹壕熱(バルトネラ感染症)
概念・病因
コロモシラミの媒介によってBartonella quintanaが感染して熱発作を伴う菌血症を呈する急性感染症である.疾患名は第1次世界大戦中に塹壕で流行したことに由来する.ヒトが唯一の自然病原巣で,ベクターであるシラミの排泄物で感染する.現在大きな流行はないものの,HIV感染者から,またホームレスやアルコール依存者での発生が報告されている.
臨床症状
2~4週間の潜伏期間のあと,発熱,下肢の疼痛,麻疹様の発疹で発病し,熱発作がほぼ5日の間隔をおいて認められる.したがって5日熱ともよばれる.舌苔,結膜充血,背部痛,筋肉痛などを生じることもある.HIV感染者の本菌の感染では細菌性血管腫症を起こし,菌血症に心内膜炎を合併すると予後不良である.
診断
有熱期の血液から血液寒天培地で病原体の分離,PCR法が行われる.血清学的診断は,おもに間接蛍光抗体法(IFA)や酵素抗体法(EIA)による抗体価測定が用いられる.ほかの近縁の菌との交差反応性がある.
治療
免疫系が正常な患者では,経過観察で治癒することも多いが,重症例やヒトが唯一の感染病巣となりうることから,テトラサイクリン系,ニューキノロン系,マクロライド系,アミノグリコシド系抗菌薬を用いることがある.[安藤秀二]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
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