塹壕熱(読み)ザンゴウネツ

  • ×塹×壕熱
  • ざんごうねつ ザンガウ‥
  • ざんごうねつ〔ザンガウ〕
  • 塹壕熱(バルトネラ感染症)

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 病原リケッチアのシラミによる媒介で、急に発熱し、寒け・神経痛などを起こす疾患。熱は二~三日で下がり、五日ぐらいで再び発熱、これを繰り返す。多くは数か月で治癒。第一次世界大戦中のヨーロッパ戦線で、塹壕中の歩兵に多発したのでこの名がある。塹壕病。五日熱。ウォルヒン熱。

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内科学 第10版の解説

概念・病因
 コロモシラミ媒介によってBartonella quintanaが感染して熱発作を伴う菌血症を呈する急性感染症である.疾患名は第1次世界大戦中に塹壕で流行したことに由来する.ヒトが唯一の自然病原巣で,ベクターであるシラミの排泄物で感染する.現在大きな流行はないものの,HIV感染者から,またホームレスやアルコール依存者での発生が報告されている.
臨床症状
 2~4週間の潜伏期間のあと,発熱,下肢の疼痛,麻疹様の発疹で発病し,熱発作がほぼ5日の間隔をおいて認められる.したがって5日熱ともよばれる.舌苔,結膜充血,背部痛,筋肉痛などを生じることもある.HIV感染者の本菌の感染では細菌性血管腫症を起こし,菌血症に心内膜炎を合併すると予後不良である.
診断
 有熱期の血液から血液寒天培地で病原体の分離,PCR法が行われる.血清学的診断は,おもに間接蛍光抗体法(IFA)や酵素抗体法(EIA)による抗体価測定が用いられる.ほかの近縁の菌との交差反応性がある.
治療
 免疫系が正常な患者では,経過観察で治癒することも多いが,重症例やヒトが唯一の感染病巣となりうることから,テトラサイクリン系,ニューキノロン系,マクロライド系,アミノグリコシド系抗菌薬を用いることがある.[安藤秀二]

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