塹壕病(読み)ざんごうびょう(その他表記)trench disease
trench fever

改訂新版 世界大百科事典 「塹壕病」の意味・わかりやすい解説

塹壕病 (ざんごうびょう)
trench disease
trench fever

リケッチアの1種Rickettsia quintanaによって起こる熱病。名前は,第1次大戦のときに,塹壕生活を送っていた兵士の間にこの病気が広がったことに由来する。病原体であるリケッチアは患者の血中に存在し,これを吸血したシラミを介して伝染する。第1次大戦時,兵士の間ではインフルエンザに次ぐ流行病であったが,インフルエンザのように世界的な規模では流行なかった。5~10日の潜伏期をへて発熱背中手足の痛みで始まり,めまいをよく起こし,ときに結膜炎および軀幹発疹をみる。2~3週で解熱する場合が多いが,なかには発熱が1年以上続く場合がある。第2次大戦のときにも流行があった。今後も衛生環境が悪いときにはこの病気が流行する危険性がある。以前は有効な薬剤がなかったが,現在ではリケッチアに有効な薬剤があり,大流行は阻止できる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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