塹壕(読み)ザンゴウ

デジタル大辞泉 「塹壕」の意味・読み・例文・類語

ざん‐ごう〔‐ガウ〕【××壕】

戦場で、歩兵敵弾を避けるために作る防御施設。溝を掘り、前方に掘った土や土嚢どのうを積み上げたもの。
城やとりでの周囲の堀。

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精選版 日本国語大辞典 「塹壕」の意味・読み・例文・類語

ざん‐ごう‥ガウ【塹壕】

  1. 〘 名詞 〙
  2. とりでや城のまわりのほり。城池。城隍(じょうこう)
    1. [初出の実例]「砦の壁には誰一人としてとり付いたものがない。塹壕だ。敵塁と我兵の間には此邪魔物があって」(出典:趣味の遺伝(1906)〈夏目漱石〉二)
    2. [その他の文献]〔新唐書‐裴行倹伝〕
  3. 野戦で、歩兵の守備線に沿って大地を掘削してつくる攻撃・防御施設。散兵壕掩体壕、交通壕などがある。
    1. [初出の実例]「或は死屍(しし)の横はれる塹壕に」(出典田舎教師(1909)〈田山花袋〉四八)

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普及版 字通 「塹壕」の読み・字形・画数・意味

【塹壕】ざんごう(がう)

とりでの坑。〔唐書、裴行倹伝〕大軍、單于(ぜんう)の北に(やど)る。に已に營を立て、塹壕(あまね)し。行儉に命じて營を高岡に徙(うつ)さしむ。~風雨暴(には)かに至り、(さき)の占營の水深餘なり。衆、せざる(な)し。

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改訂新版 世界大百科事典 「塹壕」の意味・わかりやすい解説

塹壕 (ざんごう)
trench

陸上戦闘で敵の火砲機関銃の射撃から兵員,兵器などを防護するため,大地に掘削した穴,または通路をいう。攻撃,防御いずれの場合も用いられるが,兵力が劣勢の場合,または時間をかせぐ防御の場合には必須の手段である。戦線が流動的でなく固着した場合は,敵味方双方で構築するので,第1次大戦の西部戦線のような塹壕戦となる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「塹壕」の意味・わかりやすい解説

塹壕
ざんごう

戦闘において火器の威力保持、秘匿、援護のために掘った穴および掩体(えんたい)と、待機中の兵員、馬匹、車両、兵器弾薬を敵の銃砲攻撃から避けるための溝および掩壕(えんごう)、兵員の移動を図る交通壕を総称していう。第二次世界大戦までは、直線や稲妻型の長い散兵壕に多数の兵士が入り、互いに射撃しあう塹壕戦が展開されたが、航空機や火器の発達による損害を防ぐため分散配置となり、現在では単独または数人を収容するタイプに変わった。掩体壕は、掘った土を前に積み上げて射撃依託に利用し、周囲と上部を草木で偽装する。土の少ない場合は土嚢(どのう)で補う。自衛隊の個人立射(りっしゃ)用小銃掩体は幅1メートル、深さ1.2メートル、盛り土の高さ15センチメートルである。

[寺田近雄]

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