日本大百科全書(ニッポニカ) 「墓じまい」の意味・わかりやすい解説
墓じまい
はかじまい
墓所や墓石を撤去・処分すること。廃墓ともいう。後継者がいない、遠方のために墓参りができないといった理由で、墓所の管理者や縁者などが行うことが多い。墓じまい後は縁者の現住所に近い墓所を購入する、永代供養のできる納骨堂や合同墓地を契約する、自宅供養、散骨や樹木葬などといった自然葬を行うなど、さまざまな改葬の方法がとられる。少子高齢化で墓を継承・維持できないという状態が背景にあり、代行業者もある。
墓じまいの手続は「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年法律第48号)に定められており、古い墓を管理する寺院などによる埋葬証明書と、改葬先の受入れ証明書、改葬許可申請書などを自治体に提出し、許可を得る必要がある。実際には書類の手続だけでなく、墓がある寺院などの理解を得ることが必要で、なかには寺院から法外な離檀(りだん)料を要求されてトラブルになるケースもある。また、改葬にあたっては、墓石の新たな購入、改葬する遺骨の洗浄や魂(たま)抜き、納骨の供養などが行われることが多い。料金は改葬する体数で設定されることが一般的で、1体につき10万円から数十万円と、埋葬の方法によって大きな違いがある。
[編集部]