中世には〈夏済〉とも書く。夏季に上納される済物,すなわち納期を夏とする年貢などを意味する語。夏成に対比されるのが〈春成〉〈秋成〉で,それぞれ春と秋を納期とするものであった。〈夏麦〉〈麦地子〉などと史料にあるように,一般的には大麦・小麦など麦地子が多かったが,銭納の場合もみられる。戦国家法の一つ《結城氏新法度》(1556)の101条に〈郷中より年貢の取様,夏年貢は五月端午の日より,六月晦日に立て切るべし。中の年貢六月の一日立てべし〉とあり,その納期がわかる。また後北条氏の場合にも,畑年貢に〈秋成〉と〈夏成〉がみられる。《地方凡例録(じかたはんれいろく)》(1794)によると,近世の関東では畑年貢を夏成といい,〈関東計りナツ成とて夏収む〉とある。夏の物成であるから〈なつなり〉といわれた。
執筆者:黒田 日出男
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…中世では〈秋済〉とも書き,秋に上納される済物(さいもつ∥なしもの)つまり秋を納期とする年貢などを意味した。これに対比される用語が〈春成〉〈夏成〉で,それぞれ春と夏を納期とするものであった。秋期であるから米年貢が多かったが,それだけではなく,例えば《九条家文書》によると,彼岸料足(彼岸銭)が2月と8月に納められ,これを〈春成〉と〈秋成〉と称している。…
※「夏成」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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