精選版 日本国語大辞典 「秋成」の意味・読み・例文・類語
しゅう‐せいシウ‥【秋成】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 秋に穀物などが実ること。秋のみのり。
- [初出の実例]「むぎあきで秋成ぞ〈略〉秋成とは、秋物を取収るをぞ」(出典:京大本湯山聯句鈔(1504)上)
- [ 2 ] ⇒うえだあきなり(上田秋成)
中世では〈秋済〉とも書き,秋に上納される済物(さいもつ)/(なしもの)つまり秋を納期とする年貢などを意味した。これに対比される用語が〈春成〉〈夏成〉で,それぞれ春と夏を納期とするものであった。秋期であるから米年貢が多かったが,それだけではなく,例えば《九条家文書》によると,彼岸料足(彼岸銭)が2月と8月に納められ,これを〈春成〉と〈秋成〉と称している。戦国時代の後北条氏は,畠年貢を〈夏成〉と〈秋成〉の2期に分けている。また《結城氏新法度》(1556)には夏年貢に対して秋年貢がみえる。その徴収時期には初・中・末があって,初は7月15日から期限の明示なし,中は8月15日から9月1日まで,末は10月15日から11月晦日までとされている。近世になると,《地方(じかた)凡例録》(1794)によれば,関東で畑の年貢=物成(ものなり)を〈夏成〉と称したのに対し,田の年貢を〈秋成〉といったとされる。秋の物成であるから〈あきなり〉といわれた。
執筆者:黒田 日出男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
秋に納入する年貢のことで、田の年貢のことである。納期や収穫期にちなんだ呼称。1794年(寛政6)成立の『地方凡例録』には「租税と云ハ(中略)田畑より納る貢物(ミツギモノ)のことにして、之を両税と云、即ち秋糧夏税(シウレウカゼイ)之なり、偖(サテ)此秋糧と云は秋成(アキナリ)にて田の年貢を云、夏税(カゼイ)ハ夏成(ナツナリ)にて畑の年貢を云」とある。他方、実際の徴税にあたっては畑年貢のことも秋成と言っており、1843年(天保14)相州鎌倉郡手広村の申送書(『神奈川県史』資料編8)では畑方年貢金の納期について、夏成は7月12日迄、秋成は9月30日迄、冬成は12月28日迄で、残金は翌年3月晦日迄としている。
[門前博之]
『大石久敬著、大石信敬補訂『改正補訂 地方凡例録』上下巻(大石慎三郎校訂、1969・近藤出版社)』▽『神奈川県企画調査部県史編集室編集『神奈川県史 資料編8』』
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…大坂曾根崎で私生児として生まれたが,生母が大和国名柄村庄屋末吉家の縁戚,松尾ヲサキであることは確定した。実父は,まだ確証を得ないが,秋成の出生時すでに死去していた小堀左門政報(まさつぐ)と考えられる。この説が正しければ,秋成は近世初期の数寄大名として著名な小堀遠州の隠れた子孫ということになる。…
※「秋成」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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