大中の湖(読み)だいなかのこ

日本歴史地名大系 「大中の湖」の解説

大中の湖
だいなかのこ

現蒲生郡安土町大中・近江八幡市大中町・神崎郡能登川のとがわ町大中にまたがってあった琵琶湖最大の内湖で、現在は干拓され陸地となった。江戸時代には中之海とも記された。また当湖の南方には中洲に隔てられ同じく内湖の伊庭いば内湖・安土内湖・西にしの湖(三湖を合せて小中の湖ともいう)が広がっていたが、前二者のほとんども、昭和四七年(一九七二)に完了した小中しようなかの湖干拓事業により陸地化した。干拓以前の東岸は、能登川町栗見新田くりみしんでん福堂ふくどう乙女浜おとめはま山路やまじ・伊庭、西岸は近江八幡市の円山まるやま町・白王しらおう町に接し、北部は栗見新田から白王町の伊崎いさきに延びる砂淫により外湖と隔てられ、直径約四キロほどの円状の内湖で、面積は約一五・四平方キロ。水深は最深部でも二七〇センチ程度で、湖底沖積層で覆われるほぼ平坦な土地であった。

〔大中の湖南遺跡〕

安土町大中から能登川町きぬがさにかけて、かつての小中湖岸に接する地にある縄文時代から鎌倉時代にわたる一大集落跡で、昭和四〇年・同四一年に大中の湖干拓事業に伴い発掘調査された。なかでも弥生時代中期の遺構遺物が、多量かつ良好な状態で発見され昭和四二年に国史跡に指定された。同時期の遺構に灌漑施設や水田跡・住居跡などがあり、遺物には多量の木製農具や狩猟具・漁具・日常用具などがある。住居・灌漑用水溝・水田は、この三機能を合せて一単位を形成し、計四単位を確認。通常の集落跡が住居跡の群集という形態をとるのに対し、同遺跡では大中の湖南畔に並行して形成された小砂洲に点列に所在するという、やや異なった集落構成を呈するのが特徴である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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