大原八郎(読み)おおはらはちろう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大原八郎」の意味・わかりやすい解説

大原八郎
おおはらはちろう
(1882―1943)

医学者。福島県に生まれる。旧姓阿部福島市大原病院長(現、大原綜合病院)大原一(はじめ)の養子となる。1910年(明治43)京都帝国大学医科を卒業。東北帝国大学外科学教室に入り、講師助教授を歴任後、大原病院副院長、院長となる。1925年(大正14)日本で初めて野兎(やと)病(ツラレミア)を報告、その病原菌パステウレラ・ツラレンシスPasteurella tularensis発見した。この病気は元来ノウサギ、ネズミリスなどにおこるものであるが、人間も感染することがある。1930年(昭和5)「大原病」としてドイツ語で公表した。

[本田一二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

20世紀日本人名事典 「大原八郎」の解説

大原 八郎
オオハラ ハチロウ

明治〜昭和期の病理学者 東北帝大外科学助教授。



生年
明治15(1882)年

没年
昭和18(1943)年6月25日

出身地
福島県

旧姓(旧名)
阿部

学歴〔年〕
京都帝大卒

経歴
東北帝大外科学助教授を経て、福島市の大原病院院長。大正14年ノウサギからヒトに感染する野兎病の病原菌を発見。のちツラレミアと同一の疾患であることが判明した。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大原八郎」の解説

大原八郎 おおはら-はちろう

1882-1943 大正-昭和時代前期の医学者。
明治15年生まれ。東北帝大外科学助教授をへて,福島市の大原病院院長となる。大正14年ノウサギからヒトに感染する野兎(やと)病の病原菌を発見。のちツラレミアと同一疾患と判明。昭和18年6月25日死去。62歳。福島県出身。京都帝大卒。旧姓は阿部。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の大原八郎の言及

【野兎病】より

…日本では東北地方に多く,病原菌は野兎病菌Francisella tularensis(グラム陰性,多形性菌)で,感染力はきわめて強い。1922年にアメリカのユタ州で発見され〈ツラレミアtularemia〉と名づけられたが,日本でも25年に福島の大原八郎(1882‐1943)が独自に研究し〈野兎病〉として報告し,後になって両者が同一の病気であることが明らかになった。報告者の名をとって〈大原病〉ともいう。…

※「大原八郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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