大日経疏(読み)だいにちきょうしょ

精選版 日本国語大辞典 「大日経疏」の意味・読み・例文・類語

だいにちきょう‐しょ ‥キャウ‥【大日経疏】

中国唐代の仏教書。二〇巻。善無畏説、一行記。八世紀初めころの成立大日経の根本注釈書。単なる字句解釈にとどまらず、大日経の思想を再構成し、密教発展に大きな役割を担ったもの。わが国には空海によって伝えられ、東密ではもっぱらこれに依存して研究が進められた。台密ではこの改訂本である「大日経義釈」一四巻を用いる。正称は大毘盧遮那成仏経疏。

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デジタル大辞泉 「大日経疏」の意味・読み・例文・類語

だいにちきょう‐しょ〔ダイニチキヤウ‐〕【大日経疏】

大日経の注釈書。20巻。唐の善無畏ぜんむい講説、一行いちぎょう筆録。8世紀初めに成立。密教の理論書として重要。東密で用い、台密ではその改訂版「大日経義釈」14巻を用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大日経疏」の意味・わかりやすい解説

大日経疏
だいにちきょうしょ

仏典『大日経』の初めの6巻31品(ほん)に対する注釈書。インド僧善無畏(ぜんむい)は724年(開元12)から翌年にかけて『大日経』を漢訳したが、その際にあわせてその内容を解説したものを、筆受者の一行(いちぎょう)が筆記して20巻としたもの。その一部に一行自身の天台的理解を混入してはいるが、日本真言宗(東密)において『大日経』を学ぶうえでの唯一絶対の権威として、古来、尊重されてきた。それに対して、天台宗(台密)ではもっぱら同書の改訂版である『大日経義釈』14巻を用いる。

[津田眞一]


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