日本天台宗に伝える密教。東寺密教(真言(しんごん)宗)に対する天台密教の略称。天台密教は、入唐(にっとう)した最澄(さいちょう)が順暁(じゅんぎょう)らから諸法を受け、805年(延暦24)高雄山寺(たかおさんじ)で日本初の灌頂(かんじょう)を行い、翌年には遮那(しゃな)(密教)止観(しかん)の両業の年分度者(ねんぶんどしゃ)が勅許されたことに始まる。ついで円仁(えんにん)・円珍(えんちん)が入唐して胎蔵(たいぞう)・金剛(こんごう)両界の密教に加え、蘇悉地(そしつじ)の法を伝え、安然(あんねん)に至って教学大系が完成した。平安時代には台密は盛行し、その末期から分流して台密十三流といわれる。各流は、事相(じそう)といわれる修法に多少の差はあるが内容は類同である。台密の特色は、東密が胎蔵界と金剛界の不二(ふに)を主張するに対して、蘇悉地法によって両部統合を図る三部の密教とするもので、天台の法華(ほっけ)円教と密教の融合を主張して円密一致を説く。さらに大乗仏教を広義の密教となし、法身大日如来(ほっしんだいにちにょらい)と久遠釈迦(くおんしゃか)如来を異名同体とし、金剛界曼荼羅(まんだら)に中央成身会(じょうしんえ)の八十一尊曼荼羅を配して尊重する点などが東密との差異といわれている。
[塩入良道]
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天台宗に伝えられた密教。空海を開祖とする真言宗の密教を東密(とうみつ)とよぶのに対する。天台の教法をもたらした最澄は,同時に胎蔵(たいぞう)・金剛(こんごう)両部の純密および雑密を日本に伝えた。のち東密の隆盛に対抗して円仁・円珍も密教を伝え,安然(あんねん)のとき天台独自の密教が体系化された。台密は大日・釈迦一体説,法華経と密教の融合を教理上の特色とする。やがて諸派にわかれ,中世には台密十三流と総称された。
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…安然(あんねん)は,天台系の密教の大成者といわれる。天台系の密教は,両部に《蘇悉地経》を加えた三部の相承を基本とする点を特色とし,東密に対して台密と呼ばれる。台密も,以後,比叡山を中心にして著しい発展をみせ,今日に及んでいる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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