家庭医学館 「女性仮性半陰陽」の解説
じょせいかせいはんいんよう【女性仮性半陰陽 Female Pseudohermaphroditism】
性腺(せいせん)が卵巣(らんそう)であるのに、外生殖器の陰核(いんかく)が肥大し、極端な例では陰茎(いんけい)のようになったり、大陰唇(だいいんしん)が陰嚢(いんのう)状に癒合(ゆごう)したりするなど、いろいろな程度に男性化する先天異常です。子宮(しきゅう)、卵管(らんかん)、腟(ちつ)の一部は女性型に分化発育しています。
女性仮性半陰陽の原因は、副腎(ふくじん)の異常をともなうかどうかにより、2つに大きく分けられます。
1つは、副腎の異常によるものです。先天性副腎皮質過形成(せんてんせいふくじんひしつかけいせい)(副腎皮質と性腺に異常がみられるため副腎性器症候群(ふくじんせいきしょうこうぐん)とも呼ばれる)は、副腎性アンドロゲン、エストロゲンが過剰に分泌(ぶんぴつ)され、男性化、まれに女性化をきたす異常です。これによる女性仮性半陰陽は、適切な治療をしなければ出生後も男性化傾向が進行します。男性にもありますが、陰茎がすこし大きい程度で、生まれてすぐには気づかれません。
早期に診断すれば、副腎皮質ホルモン薬の使用により進行を止められます。症状に応じた量の副腎皮質ホルモン薬を使用し続けることが必要です。
もう1つは、副腎の異常がなくておこる男性化で、出生後は男性化は進行しません。大部分は、母親の妊娠中に流産防止の目的で使用したホルモン剤の影響によるものです。