妙見岳城跡(読み)みようけんだけじようあと

日本歴史地名大系 「妙見岳城跡」の解説

妙見岳城跡
みようけんだけじようあと

[現在地名]院内町香下 妙見

駅館やつかん川中流域左岸、妙見川に挟まれた標高四四四メートルの妙見山頂にある。史料には妙見・妙見尾・妙見岳などとみえる。宇佐平野・国東くにさき半島および周防灘を隔てた中国地方が眺望できる重要な戦略拠点である。最高所の曲輪を中心にして北方と南東方向に多数の曲輪が階段状に連続し、曲輪の一部には石材の使用も認められ、また堀切や南側を中心に数十本の竪堀が良好に遺存している。正平八年(一三五三)七月二三日の少弐頼尚書下写(高並文書)によると、同月一二日南朝軍が「香志田城夜討」を行っている。香下益太郎系図(宇佐神宮所蔵)香志田こうした城と妙見岳城は同一であるとしており、この可能性はきわめて高い。同二四年五月三〇日の宇佐大宮司家御教書(永弘文書)に「あさり阿寂申、みやう(けんカ)山かなほうしミやうのうち」とみえ、阿寂の請いにより妙見山金法師かなほうし名の田畠屋敷を安堵している。この年応安二年(一三六九)大内氏は豊前守護職となり、豊前支配に乗出してきた。そのため豊前門司城を拠点とし、妙見山に山城を築き、重臣杉氏を守護代として宇佐宮支配を進め、応永二五年(一四一八)一二月一七日の大内徳雄掟書案(小山田文書)や康正元年(一四五五)八月日の宇佐宮寺三七ヶ条掟書(同文書)において宇佐宮支配を確立した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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