大学事典 「学術雑誌」の解説
学術雑誌
がくじゅつざっし
学術論文を公表するために定期的に刊行されている雑誌。学術誌,学術ジャーナルとも呼ぶ。最初の学術雑誌は,いずれも1665年に発刊された,フランスの著述家ドニ・ド・サロ(Denis de Sallo)による『ジュルナール・デ・サバン』『Journal des Sçavans』と,ロンドン王立協会の『フィロソフィカル・トランザクションズ』『Philosophical Transactions』の2誌とされる。それまで研究成果は私信や単行本で伝達されたり,剽窃を恐れて少人数にのみ伝達される秘密主義がとられることが多かった。それに対して,定期的な学術雑誌の発刊により,発見の名誉が明確化され,アカデミーにより成果が認められることから,研究成果の公開が促進されていく。19世紀以降には学問分野の専門分化がすすみ,専門学会による学術雑誌が増えていった。学術雑誌の重要な機能は,提出された論文をその雑誌に掲載すべきか否かを当該分野の研究者が審査するピア・レビューにある。ピア・レビューは,科学者共同体が公表されるべき研究成果を選別することにより,知の質を高く維持するという自己規制のメカニズムであり,科学という制度の基盤となっている。
著者: 林隆之
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報